八雲と春香はついに付き合うのか!?心霊探偵八雲11『魂の代償』読書感想
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今回ご紹介する本はこちら
心霊探偵八雲11 魂の代償 神永学 角川文庫
幽霊が見える男の子、八雲が探偵として活躍するライトノベルシリーズ、11作目です。
このシリーズも長いもので、たぶん10年以上続いていると思います。心霊探偵八雲シリーズをよく知らないよ、という方のためにシリーズの概略をご紹介しておきましょう。
主人公とヒロインの友達以上恋人未満な状態がながーーーーく続いております。このシリーズ、ジャンルはミステリなんでしょうが、私はほぼ八雲と春香の恋の行く末を追う恋愛小説として楽しんでおります。
本作11作目から、シリーズは最終章に突入し既に単行本では最終巻12作目と、シリーズ完結記念のファンブックも発売済です。「やっと八雲と春香が付き合いだすんじゃないか!?」と多くのファンが待ち望んでいたと思います(少なくとも私は早く幸せになってほしいと思ってました)
さて、前置きが長くなりましたが、11作目『魂の代償』のあらすじと感想を、そして「くっついたのか!?」を気にしつつ、ご紹介していきます。
1.おおまかなあらすじ
冒頭から、4件もの心霊現象からみの事件が発生します。これまでに登場したシリーズのレギュラーキャラクターたちがそれぞれの事件の解決に動き出した矢先、ヒロインの春香が誘拐されてしまいます。
誘拐したのはシリーズ中でも最恐最悪の性格をしている主人公・八雲の宿敵である七瀬美雪。彼女は10作目で「八雲の大切なものを奪う」と宣告しており、その通りに春香を奪い去ろうとしているのです。
春香を守れず自己嫌悪に陥る八雲をあざ笑うように、美雪は八雲にゲームを持ち掛けます。
「春香を救い出せるかゲーム」
春香を救い出すために、八雲はゲームを受けざるを得ません。ヒントは不自然に発生した4つの心霊現象の中にあるらしいのですが……
八雲は春香を無事に救い出すことが出来るのでしょうか?
2.シリーズ中トップクラスの難問
ついに始まった宿敵との最終決戦、という感じの本作。そのミステリ要素もシリーズ中トップクラスの難問が仕掛けてあります。
シリーズのお決まりとして、ヒロインの春香や腐れ縁の後藤が「わいわいがやがや」と事件の真相が見えないと言って騒ぐ中、一人冷静に着々と八雲が謎を解いていく……というのがいつもの展開です。頭の良すぎる八雲のおかげで、謎解きはほぼ一直線に進む……という、ミステリ好きとしては多少物足りなさを感じるほどの軽快な展開がシリーズの売りでもあったんです。
しかし、本作は様子が違います。
まず、七瀬美雪が腕によりをかけて(?)いくつもの「ミスリード」を仕掛けています。美雪は根っからのサディスト、苦しむ八雲の姿をじっくり楽しみたいというとても困った性格の持ち主です。「そう簡単に春香の元にたどりつかせてなるものか!」と、これまで以上の執念をみせています。
さらに、探偵役の八雲の様子もいつもと違っています。常に冷静で推理力に長けていた八雲が、今回ばかりは焦りを募らせてしまい、美雪の仕掛けたトラップにかかってしまったりと、彼らしくないんです。いつもはドジばっかりしている石井の方がカッコよく見えるほどです。
おかげで「いつもの真相にむかって一直線!」なストーリーではなく、二転三転する意外な展開が待ち受けていました。
このシリーズはいつも、読んでいる途中で真相を見抜いてしまうことも多かったんですが……
今回はけっこう難しかったです! 挑戦し甲斐があるともいえますよ。
ぜひ、いろいろな可能性を探りながら読んでみてください。
3.全ては最終巻に期待!
冒頭を読んでくださっている方にはお分かりの通り、私は心霊探偵八雲シリーズを「恋愛小説」として楽しみ、「八雲と春香はいつ付き合うのか!?」と新作がでるたびにワクワクして読んでいました。
本作は「シリーズ完結へ向けていよいよクライマックス!」とあおり文句つきで出版されましたので、「これはいよいよ……!!」と期待に胸を膨らませていたのです。
まあ、結果はと言えば……この文章のテンションの下がり方でお察しください^^;
しかし春香のために必死になる八雲の姿が読めたのは満足でした!
言葉にせずとも伝わる想いって……良いですよね。
まだ最終12作目がありますからね……既に単行本は発売済ですが、私はお財布や収納力の問題から文庫本派。もし同じ文庫本派がいらっしゃったら、一緒に気長に待ちましょう!
4.「あなたは愛する人のために何を犠牲にしますか?」
11作目『魂の代償』のテーマは、「あなたは愛する人のために何を犠牲にしますか?」という問いです。
この問いが誰に向けられたものなのかというと、それは当然、主役である八雲です。
八雲の愛する人は春香であり、物語開始早々にさらわれてしまった春香を取り戻すために、必死で駆けずり回ることになります。その間も、読んでいるこっちは、八雲は春香を取り戻すために「何を犠牲にすることになるのか!?」を考えながら読んでいました
そして、本作のラスト近くにそのシーンがやってきます。
八雲は美雪に追い詰められ、究極の問いに答えなければならない……!
読みながら『HUNTER×HUNTER』のハンター試験予選を思い出しました。答えがでるはずのない究極の問いを考えさせる序盤の名シーンだと私は思っているのですが、あれと同じくらい難しい問いです。
テーマとして大きく掲げた問いに見合う、本当に究極の問いでした。
八雲はどう応えるのか? 固唾をのんでページをめくることになりました。
問いの答えはしっかりと本作の中で表現されています。
そしてその答えを受けてどうなったのか? ものすごく気になるところで、全ての決着は最終巻の『心霊探偵八雲12 魂の深淵』へ続きます……!
いかがでしたでしょうか?
心霊探偵八雲シリーズの書籍発売ラッシュが2021年末から始まっています。
『魂の代償』についてきた帯とAmazonの情報によると、2022年3月時点の発売予定は以下の通りです。
※あくまで発売予定で、今後発売日が変更になる可能性があります。
発売済 心霊探偵八雲 Initial Files(講談社、単行本)
発売済 青の呪い 心霊探偵八雲 (講談社文庫)
発売済 心霊探偵八雲 Short Stories(角川文庫)
2022/5 心霊探偵八雲12 魂の深淵(角川文庫)
心霊探偵八雲 COMPLETE FILES(角川文庫)
一部、何故か講談社から出版されるという謎もありますが(こういうの、編集と喧嘩でもしたんじゃないかと心配になるんですよね……)シリーズファンには嬉しい冬~春になりそうです。
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。
よろしければ感想など、コメントに残していってくださいね。
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