読書感想|読んでない人は勿体ない、三国志(吉川英治)

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 三国志 吉川英治 青空文庫にて無料公開中

三国志は魏・呉・蜀の三国の攻防を描く中国の有名小説で、日本でも多くの作家がリライトをかけ、人気のある作品ですね。

子供向けの漫画も出版されていて、誰しもなんとなく内容を知っているのではないでしょうか。

しかし、あまりにたくさんのバージョンがあり、読むとなると大長編になるので、手を出しづらい作品でもあると思います。

かくいう私も実は今回が初読みです。

挑戦したのは吉川英治バージョンです。

吉川英治は大衆向けの歴史小説を数多く書いていて、前に読んだ『宮本武蔵』もものすごく面白かったです。

吉川英治作品は『三国志』『宮本武蔵』を含む多くが青空文庫で公開されており、全部無料!

かなりの大長編ですが、面白く、やはり挑戦してみてよかったなと思いました。

それでは、感想とともに、吉川英治の略歴などもご紹介していきたいと思います。

目次
 1.吉川英治の人生
 2.吉川英治文学賞 及び 吉川英治文学新人賞
 3.『三国志』『宮本武蔵』などお薦め作品


1.吉川英治の人生

1892年、神奈川県生まれです。

生家は元藩士の家系ですが、英治が小学校に上がるころには家運が傾いてきており、英治は小学校を中退し様々な職を転々としながら独学する少年期を送っていました。

その一方、10歳のころより作文を投稿し始め入賞するなど、早くから才能を開花させていたようです。

18歳の時に上京し川柳などを嗜むようになり、文芸雑誌でも小説作品で受賞しますが、暮らし向きは楽になりません。

しかし、1921年、東京毎夕新聞社に入社し、そこで次第に才能を認められ『親鸞記』などを執筆します。

その後、結婚、関東大震災により東京毎夕新聞社が解散するなど、人生の大きな節目を体験し作家として生きていくことを決意した英治は、講談社に小説を投稿し、1925年「キング」という雑誌に連載した『剣難女難』で人気を博します。

これより数多くの連載を依頼され、印税により英治は経済的に恵まれていくようになります、が。

妻のやすは生活の変化についていけず、次第に心の健康を害すようになります。

英治は引っ越しや別居で家庭の安定を図ろうとしますが、1937年、結局離婚。

同年に再婚もしています。

私生活は幸福とは言い難いこの間の1935年に、代表作である『宮本武蔵』の連載が開始し大人気となります。

太平洋戦時中も執筆活動を続け、戦地の視察や海軍の戦史編纂にも携わりますが、戦後は一時筆を置いてしまいます。

執筆活動再開後は多くの賞を受賞しますが、1962年、肺がんにより死去、享年70歳でした。

 <主な受賞歴>
  ・第1回菊池寛賞 『新・平家物語』
  ・朝日文化賞 『新・平家物語』
  ・文化勲章
  ・従三位、勲一等瑞宝章(没後)

2.吉川英治文学賞 及び 吉川英治文学新人賞

本人の偉業からは話がそれますが、吉川英治の名を冠した文学賞を2つ、ご紹介します。

吉川英治文学賞 及び 吉川英治文学新人賞 です。

どちらも講談社と公益財団法人吉川英治国民文化振興会によって運営されています。

吉川英治文学賞が1967年から、新人賞が1980年から始まり、今も継続されています。

どちらも大衆小説が対象で、ざっと受賞者を眺めた感じとしては、吉川英治文学賞が超ベテラン・大御所作家が対象に対して、

吉川英治文学新人賞が中堅・人気作家が対象という印象です。

先に吉川英治文学新人賞を獲得し、何年も後に吉川英治文学賞を受賞している超大御所作家もいます。

年によっては受賞者なし、とすることもあるようですし、

かつて高額納税者作家部門で何年も連続してトップを突っ走っていた赤川次郎が、やっと2016年に吉川英治文学賞を受賞していますから、この賞の重さが伺えますね。

ちなみに吉川英治文学賞には、吉川英治が生前、受賞賞金を毎日新聞社に寄託し創設された吉川英治賞という、前身となる賞が存在しました。

1967年に主宰が毎日新聞社から吉川英治国民文化振興会に変わり、現在の吉川英治文学賞となりました。

吉川英治賞が本人の「新人作家を育成するために」創設された賞ですので、その意義は変わってはきていますが、

吉川英治の名が文壇に残した功績の高さと尊敬を具現化したような文学賞、それが吉川英治文学賞だと言えそうです。

<主な受賞者(受賞年・作品名)>

吉川英治文学賞吉川英治文学新人賞
林真理子(1998年・『みんなの秘密』)宮部みゆき(1991年・『本所深川ふしぎ草子』)
宮部みゆき(2007年・『名もなき毒』)浅田次郎(1994年・『地下鉄に乗って』)
浅田次郎(2008年・『中原の虹』)恩田陸(2004年・『夜のピクニック』)
赤川次郎(2016年・『東京零年』)辻村美月(2010年・『ツナグ』)

3.『三国志』『宮本武蔵』などお薦め作品

吉川英治の作品は多くが青空文庫で無料公開されています。

その中で私が読んだお薦め2作と、代表作をご紹介します。

まずは『三国志』。

魏・呉・蜀の三国時代の争乱を描いた中国小説を吉川英治がリライトしたものです。

劉備玄徳、曹操、孔明などの英雄たちを堪能できる大長編になっています。

本編自体が大変面白いのですが、たまに途中で吉川英治の個人的注釈が入ったりするのが新鮮です。

本編終了後には吉川英治による人物・時代考察もついていますよ。

面白さは保証できるのですが、あまりに長いので読書慣れしていない人にはしんどいかもしれません。

そんな時は孔明が登場し、初の大活躍をする「赤壁の巻」から読むことをお薦めします。

映画でも有名なレッド・クリフ(赤壁)のくだりが「赤壁の巻」にあたります。

三国志の中でも屈指の盛り上がりを見せる場面で、細かい設定や人間関係抜きに、孔明の智謀に圧巻され抜群の面白さを感じることができるでしょう。

次にご紹介するのは『宮本武蔵』です。

吉川英治の代表作ですね。

宮本武蔵の名は巌流島の佐々木小次郎との決闘でお馴染みでしょう。

大剣豪・宮本武蔵が関ヶ原の戦いで敗軍に属して命からがら逃げだした後、剣豪となり成長し、最後に佐々木小次郎と決闘するまでを描いています。

どうやら史実無根な完全なるフィクション作品のようですが、小説としての面白さには関係ありません。

ライバルである佐々木小次郎、武蔵に思いを寄せる女性、武蔵を慕う弟子など、多くの個性豊かな登場人物に彩られた物語を味わえますよ。

以上2作品の他に、有名な作品で青空文庫で公開中のものに『鳴門秘帖』『私本太平記』や『新・水滸伝』があります。

他にも多くの作品が公開中になっているので、ぜひお気に入りを見つけて教えてくださいね。


いかがでしたでしょうか?

長いけど、読むだけの面白さと、良きった充実感が得られる吉川英治作品、私は大好きです。

まだ2長編しか読んでいませんが、他の作品にも挑戦して、またご紹介したいと思います。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!

よろしければ感想など、コメントを残していってくださいね。

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