シリーズのこぼれ話&キャラの魅力がつまった短編集『シグマフォース機密ファイル』読書感想

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今回ご紹介する本はこちら

シグマフォース機密ファイル  ジェームズ・ロリンズ  竹書房文庫

天才科学者たちがスパイとして活躍する『シグマフォースシリーズ』の短編集 & ファンブックです。

短編集はコワルスキ、セイチャン、タッカー(ともちろんケイン)がそれぞれが主役の3編が収録されています。

毎回、地球を滅亡のピンチに追い込む壮大なストーリーを編み出しているので果たして短編で話が収まるのか!?と思っていましたが、地球規模とはいかないまでも、そこそこのピンチを用意し、さらにキャラクターの魅力を詰めこんだなかなか読みがいのある内容でした。

シリーズファンには興味深い仕掛けもあって、各キャラクターのファンはもちろん、『シグマフォースシリーズ』を読んだことのある人にもおススメの内容でした。

それでは、ファンブックの概要と共に、ご紹介していきたいと思います。

1.ファンブックの概要

本書はまずは短編集から始まっているのですが、順番をひっくり返してファンブックの概要からご紹介していきます。

ファンブックの主な内容は以下の通りです。

  • キャラクター紹介
  • シリーズ作品の簡単なあらすじ
  • とりあげた歴史・科学テーマのまとめ

範囲はシリーズ第1作『マギの聖骨』から第7作『ギルドの系譜』までとシリーズの前日譚『ウバールの悪魔』が含まれていました。

まだ各作品を読んだことがない人のために、ネタバレ防止にも気を遣って、肝心の部分は「非公開情報」として隠してあるので、まだ読んでない人にも優しく、読んだ人にはニヤリとしてしまう配慮がしてありました。

そのためか『ギルドの系譜』の紹介はほとんどしてなかったですね。

シグマの宿敵、ギルドとの最終戦争の中身はやはり本編で読んでほしい、ということでしょう。

また、シリーズ本編は8作目『チンギスの陵墓』から新たな展開に入っており、一つの作品でお話が完結する傾向が強くなっています。

長いシリーズなのでより新しい作品から読み始めたい、という方には、それまでのキャラクター達の人間関係の変化が分かる内容でもあるので、本書を一冊読んでおくと物語に入りやすいと思います。

キャラクター紹介にはグレイやペインターといったシグマの隊員たちセイチャン、レイチェルなどの準レギュラーたちが紹介されていました。

しかし、誕生日などのプロフィール紹介がないなど、正直、日本のファンブックを読み慣れている身としてはちょっと物足りない感じのする内容ではあります。

それでも本編にはここまで書いてなかったな、という彼らがシグマにスカウトされるまでの経緯なども詳しく書いてありましたので本編を読む以上にキャラクターについて知ることが出来ましたよ。

2.キャラクターの魅力が詰まった短編集!

本書のメインはやはりこちら、短編集のほうでしょう!

コワルスキ、セイチャン、タッカー&ケインが主役の3編が収録されています。

しかも、それぞれのお話がシリーズ本編の空白を埋める内容になっているんです。

例えば、コワルスキの短編には2作目と3作目の間の意味で「2.5」という数字がタイトルの横についています。

コワルスキがシリーズ本編に登場するのは3作目の『ユダの覚醒』から。

「どうしてこの人、シグマにスカウトされたんだろう?」という意味でキャラ立ちしているコワルスキ、今まで本編では一度たりともその理由は明かされたことがありませんでした。

ある意味、シリーズ最大の謎(笑)になっているその理由がコワルスキの短編を読むと判明します。

こんな感じで、シリーズ本編には入りきらなかった各キャラクターの諸事情が明らかになりますよ。

それでは、各短編のおおまかなあらすじと感想をご紹介していきます。

① 『コワルスキの恋』2.5

あらすじ

とある島に任務に訪れたシグマの隊員、ロサウロ(4作目『ロマの血脈』に登場)。

彼女の任務はその島にある新種のウイルスの抗体を手に入れることだ。

しかしほぼ無人であるはずの島で、ロサウロは大男にでくわしてしまう。

その大男の名はコワルスキ。

コワルスキに構っている暇などないロサウロだったが、島はあと数十分のうちにすべてが燃やし尽くされてしまう予定になっている。

仕方なくコワルスキと共に島の探索を進めるロサウロだったが、彼女は負傷してしまう。

このままでは任務遂行不可能……となったところで、立ち上がったのがコワルスキ。

ロサウロは任務遂行をコワルスキに託さざるを得なかった……

ロサウロの不安と焦りの入り混じった微妙な顔が目の前に浮かぶようです(笑)。

このお話ではコワルスキが猿を嫌っている理由と、彼がシグマにスカウトされた理由が明らかになります。

このお話にはコワルスキの(たぶん)いいところがいっぱいです。

お馬鹿なところとか、動物的な勘を持っているところとか、いざとなると頼りになるところとか……

あとタイトル、気になりますよね。

いったい誰に恋するんだ? と……

しかしコワルスキは常に想像の斜め上をいく男です。

オチも含めて笑える話です、コワルスキが活躍すると元気がもらえていい!!

② 『セイチャンの首輪』 5.5

あらすじ

見知らぬホテルの一室で目覚めたセイチャン。

同じ部屋には1人の少年がおり、2人の首には電気ショックを与える首輪がとりつけられていた。

彼女たちがいるのはパリ。

セイチャンと少年を薬で眠らせ首輪を取り付けた男の要求はただ一つ、息子を取り戻してほしい、ということだった。

男の息子がいるのは迷宮化しているパリの地下道。

死を与える力を持つ首輪の前に、要求を呑むしかないセイチャンたちはパリの地下へと潜る。

その奥深くには、狂信的な集団が待ち構えていた……

このお話ではセイチャンが6作目『ジェファーソンの密約』で持参した手掛かりをどうやって手に入れたのか、が明らかになります。

本編ではフランスでなんかあったらしいということ、そのせいで首に怪我をした、くらいしか明かされませんでしたが、彼女、まあまあなピンチにあっていました

しかしそこは凄腕のスパイ、セイチャン、冷静な判断力とカッコいいアクションで軽くピンチを乗り越えてくれました。

本当、カッコいい女性ですね。

コワルスキとは違った意味で野性的な魅力を感じます。

さらに、必要以上の犠牲を出さない彼女の信念、優しさといったものも垣間見れて、彼女のファンにはたまらない作品だと思います!

③ 『タッカーの相棒』  6.5

あらすじ

ブダペストを訪れたタッカーとその相棒のケイン。

そこで追われる美女をみかけ、タッカーは助けに入る。

彼女は行方不明になった父親を探しにブダペストを訪れたが、どうやらその父親は厄介ごとに巻き込まれていたらしく彼女も追われる身となってしまったようだった。

ケインという相棒のおかげで彼女の信頼を得たタッカーは、彼女を守りつつ、その父親の行方を共に探すことになる。

タッカーのハードボイルド物語、といったおもむきの作品でした。

彼は7作目の『ギルドの系譜』に登場し、相棒のケインと共に鮮やかな印象を読者に植え付けましたが、それまでどこで何をしていたのか?というのはほとんどわかっていません。

本作ではその断片を垣間見ることが出来ます。

タッカーは正義感が強いというのか、お節介というのか、おそらく今回の話のように、トラブルをかぎつけては助けに入りながら、気ままに世界中を旅してまわっていたようです。

タッカーも活躍しますが、一番の活躍を見せるのはケインです。

タッカーから離れて孤立したケイン、彼にもピンチが襲い掛かるのですが……人間顔負けですね。なでなでしてあげたい。


いかがでしたでしょうか?

シグマフォースシリーズ初の短編集は、キャラクターの魅力と、本編の裏話が詰まった読み応えのある内容です。

個人的にはコワルスキ(私のイチ推しキャラ)の短編が一番面白かったです。この事件で彼をスカウトしたシグマも英断だと思います^^;

シリーズファンには読んで損はないと思いますので見かけたら手に取ってみてくださいね。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

よろしければ感想など、コメントに残していってくださいね。

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