シグマフォースシリーズ屈指のスリルある展開です:ジェファーソンの密約(読書感想)

元ライターが作家目線で読書する当ブログへようこそ!

今回ご紹介する本はこちら↓

ジェファーソンの密約  ジェームズ・ロリンズ  竹書房文庫

シグマフォースシリーズ第6作目で、

シグマの宿敵、ギルドとの全面戦争3部作の真ん中にあたります。

いつもなら、シリーズ作品ならではの

人間関係の変化に注目することが多いんですが、

今回はその成分は少なめです。

なぜなら、とにかくメインストーリーが抜群に面白い! からです。

面白過ぎてサブストーリーである恋愛面とか気にならないです。

本作ではギルドの幹部が登場し、ギルドとの激闘の模様が終始描かれています。

ギルドだけでもヤバいのに、今回ギルドが手を出したものが

本当に危険物中の危険物で、今度こそ「地球終わるかな……」と

最後までハラハラさせられました。

スリルある展開に加え、胸が熱くなる名シーンも後半連発で、

私が本作を読むのは2回目、かつ、大体の筋書きは頭にまだ残っているというのに、

それでも釘付けになるほどでした。

面白さの衝撃度は初めて『マギの聖骨』を読んだ時に受けたカルチャーショックと

同程度のインパクトがありました。

面白さをご紹介したくて仕方ないので、さっそく感想を書いていきたいと思います。

目次   1.あれもこれも……「熱い!」展開目白押し
     2.次作、グレイは大活躍間違いなし!?
     3.おおまかなあらすじ


1.あれもこれも……「熱い!」展開目白押し

『ジェファーソンの密約』はギルドとの戦い3部作の真ん中にあたり、

それだけでも期待感が高まる作品だと思います。

そして本作はしっかり、その期待に応える素晴らしいクオリティでした。

いつもなら隊員たちの恋愛面とかも丹念に書き込まれるところを、

今回はさら~っとした書きぶりで、

全編を通して シグマ VS ギルド の激闘に描写を集中していました。

おかげでいつも以上にメインストーリーが面白く、

特に後半は一気読み必死です。

前半も当然、面白いんですよ。

ギルドの幹部が早々に登場しますし、

セイチャンというヒロインも最初から主人公グレイのそばにつきっきりですし、

さらに今回、シグマが相手にする謎の物質の性質が危険すぎて

「シグマにもギルドにも手に負えないんじゃないの?」と

先を読み進めたくなる要素てんこ盛りです。

しかし、後半はこの面白さにもっと拍車がかかります。

まず、タイムリミットの緊迫感が超強火です。

これまでの作品でも、早くしないと誰か死ぬ!というタイムリミットは

しばしば取り入れられてきた要素でしたが、

今回は規模が違います。

タイムリミットが過ぎれば「あ、地球終わるな」というレベルの

危機感の煽り方をしてきます。

人類滅亡どころか、たぶんゴキブリですら生存が危ぶまれる

災害が起こりかねない事態にまで追い込まれます。

とはいえ、「どうせ主人公のグレイがどうにかするんでしょ」と

シリーズをここまで読んできている私なんぞは思ったりするわけなんですが、

今回、グレイの活躍は控えめです。

特に危機が差し迫っている後半、

「ええええ!?」ってくらい彼にしては諦めが早いです^^;

いつも超頼りになる男、グレイがあっさりと諦めちゃうおかげで、

「シグマは、地球は大丈夫なのか!?」と

手に汗握る展開になります。

そんな展開の中だけでも心拍数があがっているのに、

数々の胸熱シーンを放り込んでくるんですね。

詳しく言っちゃうのは寒いと思いますので止めますが、

勇敢な少年の大人顔負けの活躍だったり、

司令官のペインターの策謀がハマったり、

最後にはコワルスキ(私のイチ推し!)も活躍します!

グレイの活躍が控えめな分、他のキャラクターが存分に

暴れまわってくれたので、シリーズのファンには美味しい盛り上がりでした。

ここまでが、感想として共感を得られる部分かなと思うのですが、

このあと↓個人的に「これは熱い!」とツボだったポイントがあったので

語らせていただきます…

もし「何言ってるんだこいつは…」という感じでしたらスクロールして

先に飛んじゃってください^^;

それでは、これ以降、個人的に「これは熱い!」とツボだった

ポイントのご紹介です。(読んでくださってありがとうございます!)

これまで、シグマフォースシリーズには多くの遺跡やヒマラヤなどの大自然が

登場してきました。

それらの場所も、簡単には訪れられない場所には違いありません。

しかし、本作では一般人は絶対に一生かけても到達できない場所が登場してきました!

一つ目が日本が誇るニュートリノ検出装置であるスーパーカミオカンデ、

その内部の水タンクです。

「水タンク? それのどこがすごいの?」とピンとこない方もいらっしゃるでしょう。

私も詳しく知ったのはたまたま子供と一緒に科学の図鑑を覗いてたからです。

ニュートリノという、宇宙を飛び交う本当に極小の微粒子があるのですが、

「本当にそんなもの実在するのか?」と長年疑われ続けてきました。

それもそのはず、ニュートリノは小さすぎて地球上のどんな物質にも

ほとんど反応せず、すりぬけてしまっていると予測されていたのです。

そんな幻の極小微粒子、ニュートリノを世界で初めて検出した装置が

スーパーカミオカンデ! なんです。

日本人の小柴教授がノーベル賞を受賞されているくらい

超すごい発見だったんですよ!

そして、ニュートリノを検出する装置の本体が、

水タンク、なのです。

この水タンク内の水分子にニュートリノが当たると、わずかに電子を放出し、

水タンクの壁にあたります。

水タンクの壁にはその電子に反応するセンサーがついており、

センサーが反応すれば、ニュートリノの存在が証明できる……

私の素人による解説で申し訳ないですが、

スーパーカミオカンデの水タンクは、とにかくすごい! ということが

お分かりいただければそれでいいです。

(もし不正確でしたらすみません……)

本作では、その水タンクの中に入る、というシーンが出てきます!

スーパーカミオカンデは一般公開もされていますが、

水タンク内は侵入禁止エリアとされています。

「うわー! 私も入ってみたい!!」

水タンクに入るシーンで、思わず叫びました。

それくらい、一部の科学ファンには羨望の場所なんですよ^^;

もう一か所が、フォートノックスです。

ここはアメリカのケンタッキー州になる、軍保留地です。

もちろん、それだけではありません。

ここには、アメリカの金銀保管所があるんです。

平たく言えば、大量の金と銀が、山と積まれている

超巨大金庫があると思ってください。

詳しくは調べてもちょっとわからなかったのですが、

作中の描写が正確であれば、金庫内に入るには

「大統領令」という御大層なものが必須になってきます。

そんなものがあっても全身チェックはもちろんのこと、

金庫内にいる時には何人もの警備員に囲まれる厳重な警備体制のもと、

見学することになります。

ちょっと怪しい動きをしただけで銃口が向けられる、

そんな状況は嫌ですが、それでもちょっと興味がわきませんか?

ルパン三世じゃなくてもちょっとお目にかかってみたい……

きっと内部はそんな光景が広がっていることでしょう……!

2.次作、グレイは大活躍間違いなし!?

さて、前項でも触れました通り、

いつも最後の美味しいところをもっていく主人公・グレイは

本作の活躍は控えめです。

珍しいこともあるもんだ、なんですが、

考えてみれば本作は VS ギルド三部作の2作目、

3作目はギルドとの全面戦争になるはずです。

グレイの大活躍は、きっと次作にとっておいたのだと思います。

その証拠に、本作ではグレイにギルドと闘う重要な理由が生まれます。

これまでも、度々任務の邪魔をされたり、

黒幕だったりして、グレイはギルドと何度となく戦ってはいますが、

その理由はすべて「任務を遂行するため」つまり「仕事」が理由だったんですね。

しかし、本作の最後に起こる事件により、グレイの中に

ギルドに対する個人的な恨みが生まれます。

グレイの心情的には恨みなんて言葉では生ぬるいですね。

「ギルドの奴ら駆逐してやる!」くらい強い感情が

爆誕したと言っていいでしょう。

そして、その爆誕の現場に付き添っていたのが

ヒロインであるセイチャンです。

彼女もギルドが消滅しない限りは、

シグマに安全にかくまってもらうことすら難しい身の上です。

しかも彼女の胸の内にはグレイへの恋心もあります。

きっかけは殺伐としたものですが、

「ギルドを壊滅させる」という願望は、グレイとセイチャンが

初めて私的な感情でも、共通の目的を持てた瞬間でもありました。

一つの事件で、感情や関係の変化を複数絡めて展開を盛り上げてくるなんて

やはり、作者さんは「小説を書くのが上手いなあ!」と思います。

さあ、公私ともに、グレイがギルドに立ち向かっていく準備ができました。

次作、グレイがどんな主人公力を発揮してくれるのか、楽しみです。

3.おおまかなあらすじ

今回の歴史テーマはトマス・ジェファーソンの時代に遡ります。

独立宣言の起草者ですね。歴史の教科書で知った人も多いことでしょう。

彼はアメリカ先住民の研究にも熱心な人だったらしく、

アメリカ東海岸から西海岸までを横断する探検隊の

後援もしていたそうです。

と、ここまでが教科書的な知識ですが、

本書では、その横断探検隊には

「とある真の目的があったらしい」として、

その探検隊が探していたものが、物語の重要なキーポイントになってきます。

そして、シグマフォースシリーズに欠かせないもう一つの要素、

科学の分野からは「ナノテクノロジー」がピックアップされています。

ナノテクノロジーのナノとは、単位につく接頭語の一つで、

意味は10憶分の1、です。

長さの単位であるm(メートル)につくと

1nm=1メートルの10憶分の1の長さ という意味になります。

具体的に言うと、顕微鏡で見える世界よりも小さい世界、

原子や分子レベルの世界の話になります。

ナノテクノロジーとは、そんな極小の世界における物質や技術を

研究開発し、コントロールしていくことをさします。

ここでは、なんとなくすごい! ことが分かれば十分です。

ナノテクノロジーの恐ろしさは、本書内で思い知ることになるのですから……

では、これ以降、大まかなあらすじをご紹介します。

プロローグ

18世紀アメリカ

西海岸への探検隊は先史時代の生き物の頭蓋骨を発見した。

その頭蓋骨内には金箔が貼られ、地図のようなものが記されていた。

その夜、探検隊は先住民族の姿に扮した何者かに襲われた。

辛くも逃げ出した生存者の一人が、頭蓋骨を

トマス・ジェファーソンの元へと送り届けるのだった。

本編

アメリカ、ロッキー山脈の先住民族の遺跡内で、

プロローグで発見された動物の頭蓋骨が祀られているのが発見された。

歴史的大発見として、歴史学者のハンクは頭蓋骨の移送と

調査のために遺跡を訪れた。

ハンクが頭蓋骨を遺跡の外部に運び出すと、

遺跡の内部から少女が飛び出してきて、

そして、その後すぐに何かが大爆発を起こした。

爆発の原因は逃げ去ったその少女にあるのではないか、と彼女の捜索が始まった。

ハンクは辛くも爆発の難を逃れた後、独自に少女を捜索し

彼女を保護したが、共にギルドに命を狙われることになってしまった。

少女の名前はカイといい、先住民族の血をひいている。

彼女は先住民族の遺跡を守ろうと、確かに遺跡の入口を爆発させようとはしていたが、

先ほど起きた大爆発とは無関係だった。

信頼できる保護者を必要としたカイたちは、カイの叔父であり

シグマの司令官でもあるペインターに連絡をとり、

彼と待ち合わせることになった。

ペインターたちシグマも、ロッキー山脈で起こった爆発の跡のクレーターが

徐々に周囲を粒子化させながら広がるという異常な様子に、調査に乗り出すことに決めた。

ハンクとカイがペインターと合流し、

そこで先住民族の遺跡から持ち出されていたナイフから

驚きの事実が明らかになる。

ナイフは当時の技術とは思えない高度なナノテクノロジーにより

作成されたものであり、先住民族がナノテクノロジーの知識を

持っていたことが明らかになった。

遺跡で起こった爆発の跡地に起きている異常も、

制御不能になったナノテクノロジーのせいかもしれない。

ロッキー山脈で起こった爆発のせいで、他の地に眠る

ナノテクノロジーも不安定になり、第2、第3の爆発を

起こすことは間違いない状況となっていた。

ペインターたちはこの件に直接乗り出してきているギルドの

襲撃を受けながら、先住民族の長老に話を聞きに行ったり、

別の遺跡の内部を探り、他に遺されたナノテクノロジーの

保護をしようと闘うことになる。

一方、グレイは自宅に帰るとセイチャンの待ち伏せにあった。

彼女はギルドを壊滅させるべく、ギルド上層部を探っていたが、

ギルドの歴史がアメリカ建国時にまでさかのぼることを発見した。

彼女が持ってきたのはトマス・ジェファーソンらと共に

アメリカ独立宣言の起草者となったベンジャミン・フランクリンの手紙だった。

その手紙には、ベンジャミンたちの敵としてギルドのマークが記されてあった。

ベンジャミンたちは先住民族の持っていたナノテクノロジーの技術を巡って

ギルドと対決していたらしい。

グレイたちは、ベンジャミンたちが行わせた先住民族の調査の跡を追い、

アイスランドまで赴く。

アイスランドでは、過去、ベンジャミンたちの使者が訪れた時に噴火を起こしていた。

現在、ロッキー山脈でもナノテクノロジーの暴走により、

小規模だが噴火が誘発されていた。

ベンジャミンたちの使者は、ナノテクノロジーに関わるものを捜索し、

アイスランドでそれを見つけ、誤って暴走させてしまったのではないか。

グレイたちはその仮説の元、アイスランドでギルドの襲撃を受けながらも、

ベンジャミンたちの使者の日記を確保する。

日記と、ベンジャミンたちの使者のその後の足取りから、

彼がアメリカ横断探検隊に加わり、

西部の先住民族たちの土地で

ナノテクノロジーに関わるものを捜索し続けていたことがわかった。

日記から具体的な場所も判明する。

そこは、先住民族たちのゆかりの地であり、

現フォートノックスの金塊保管所となっている場所だった。

フォートノックスでも手がかりを手に入れたグレイたちは、

暴走寸前となっているナノテクノロジーを止めるため、

次の目的地へと向かう。

グレイとペインターたちは終始別行動をとり、

ナノテクノロジーの暴走というタイムリミットに迫られながらも

ギルドとの戦いに立ち向かうのだった。


いかがでしたでしょうか?

次作はいよいよギルド3部作の最後です。

これまで何度も煮え湯を飲まされてきた(のはお互い様かもだけど)

ギルドとの戦いに終止符がうたれます。

本作の最後でも、ギルドのリーダーの正体について「まじ?」という

情報が飛び出してきました。

この記事を書きながらも「早く次が読みたいなあ」とうずうずしています、

再読なのに!

それでは、また次作の感想でお会いしましょう。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

よろしければ、感想など、コメントに残していってくださいね。


シグマフォースシリーズの他の作品の記事はこちらからどうぞ↓

本作の1作目、シリーズ5作目『ケルトの封印』

シリーズ最新作、シリーズ15作目『タルタロスの目覚め』

シリーズの前日譚『ウバールの悪魔』

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