読書感想|次巻までぐっと我慢です…、デート・ア・ライブ6美九リリィ(橘公司)
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デート・ア・ライブ6美九リリィ 橘公司 ファンタジア文庫(KADOKAWA)
前にご紹介した同タイトルの『5八舞テンペスト』にて新展開を見せ、宿敵の登場を予感させました。
→『5八舞テンペスト』の記事はこちらからどうぞ
今回ご紹介の続編『6美九リリィ』ではその敵が主人公たちに牙を剥き、大ピンチを迎えます。
先に言っておきますと、この巻だけではすっきり終わらずに次巻へ続く展開になっています。
これから読もうかなという方は7巻も買っておくことをお薦めします。
それでは、これ以降ネタバレありで、ご紹介していきます。
目次
1.おおまかなあらすじ
2.今回のヒロインの魅力はまだ不明
3.起承転結の承
1.おおまかなあらすじ
※シリーズものなので、これまでの概要が分からないと本書だけのあらすじを読んでも不明な点があると思います。
『5八舞テンペスト』についてのブログに簡単にシリーズ概要をまとめてありますので、そちらも読んでみてください。
主人公の五河士道は天央祭の実行委員として多忙な日々を送っている。
天央祭とは、天宮市内の10の高校が合同で行う文化祭で、どの高校の出し物が一番優れているかを競い合う一大イベントである。
そんな中、歌う精霊、美九に遭遇した士道だが、話すこともままならず彼女に嫌われてしまう。
美九は大の男嫌いだったのだ。
このままでは精霊の力を封印するために好感度をあげるどころではなく、対応に悩む士道たち。
散々なファーストコンタクトの後、実行委員として訪れた竜胆寺女学院で、同校の実行委員長として現れたのは美九、その人だった。
精霊であることを隠し、高校に通いつつ、さらに幻のアイドルとしても活躍する美九に近づくため、士道は女装をする羽目になる。
嫌々ながらも女装し、美九と仲良くなることに成功する士道。
しかし、美九は精霊としての能力、「声」で人のことを思いのまま操ることができ、人間のことなど歯牙にもかけていない。
士道はそのことに憤り、美九に嫌いだと言い放ってしまう。
しかし、美九は士道が気に入り、勝負を持ち掛ける。
天央祭で士道の高校が最優秀賞を取れば、美九の精霊の力を封印できる、
負ければ士道と、士道が力を封印した精霊全員が美九のものになるという、とんでもない内容の勝負だった。
受けざるを得ない士道だが、美九は自身がステージに立ち歌声を皆に披露すると言いだす。
美九の声の力を恐れ、士道はバンドを結成し、自分たちも演奏で対抗しようとするが、失敗。
ステージ勝負は美九に負けてしまう。
ところがステージのことしか頭になかった美九は、他の準備を怠り、総合最優秀賞は士道たちの高校に奪われてしまう。
自分の思い通りにならなかったことにヒステリーを起こした美九は「声」の力で天央祭にいたすべての人を操り士道に襲い掛かってくる。
その中には今まで、士道が力を封印してきた精霊たちも含まれており、追い詰められそうになる士道だが、耳栓をしていたため美九の力の影響を受けなかった十香に助けられる。
それでも大ピンチに違いない士道と十香の前に、今度は十香を捕らえようとする別の敵が現れる。
士道は十香により天央祭会場より投げ出され、十香だけが捕まって連れ去られてしまう。
美九の暴走も止められず、十香もさらわれ、無力感と絶望に襲われる士道の前に、力を封印されることなく逃亡していた凶悪な精霊・狂三が現れた。
狂三の真意やいかに……というところで続きます。
2.今回のヒロインの魅力はまだ不明
毎回、ヒロインが新登場し続けているこのシリーズ、今回は類まれなる美声で人の心を操る、美九がメインヒロインです。
見た目は美しく、物腰柔らかで、正体を隠して通っている高校では天央祭の実行委員長になるなど人望もあり、極度な男嫌いを除けばまともに見える……
のですが、その実、とんでもない本性をしています。
自分のちょっとした我が儘のためなら、人がいくら傷つこうがお構いなし、私のために傷つくならきっと向こうも本望だ、という唯我独尊、傍若無人、この世は私のためにあるを地でいくような性格に描かれています。
文化祭の実行委員長に選ばれたり、幻のアイドルとして活躍するくらいですから、友達もファンも多いのですが、美九からすれば全てモノ扱い、お気に入りのコレクションというだけで、壊れたらちょっと勿体ない、くらいの感覚しか持ち合わせてないんですね。
いくら美人でもこの性格じゃあ、魅力を感じないですよね。
ただ、前に最悪の精霊として、本書の最後にもちらりと出てくる狂三も、人を殺すのを厭わないぶっ壊れた倫理観の持ち主でしたが、彼女の行動原理にはどうやら、この世を破壊する可能性のある精霊の存在を消し去ってしまいたい、という彼女なりの正義感が隠されている可能性が示されていました。
目的のためなら手段を選ばない、と言ってももう少し選んでほしいと思わないでもないですが、理由が見えてくると行動や人物にも別の角度から光が当たって、少し魅力を増しますよね。
たぶん、美九も7巻目以降で、また違った一面、ギャップを見せてより魅力を感じさせてくれるようになっているんじゃないかなあ、と期待しています。
だって一応ヒロインですからね!
可愛らしい一面も作ってあるはずだと信じています。
3.起承転結の承
『5八舞テンペスト』の時に書きましたが、1~4で一つの大きなお話が終わり、5~新展開が始まっています。
目的は不明ながら、精霊である十香や、力を封印できる士道を捕らえようとする第三勢力の姿が描かれています。
『5』ではその企みは失敗し、むしろコミカルな存在として描かれていましたが、今回は見事、十香をさらうことに成功しています。
それに対して士道はといういと、何をすることも出来ず、そして何をしたらよいかもわからず、ただ悔しがることしかできない……というところで終わってしまいます。
『5』で起承転結の起:敵の姿を見せ何かが起こることを予感させ、
本書『6』で承:敵が具体的に脅威をもたらすが主人公は何をするべきかわかってない、という展開が描かれました。
実は、これ、シナリオとしては実にオーソドックスな展開です。
主人公は物語のヒーローになるべき存在ですので、最後には敵に対抗しうる術をもって勇敢に立ち向かうべきなのですが、最初から強い存在だと、それはそれで物語としては面白くなかったりします。
最初はなす術もなく振り回され絶望したりしながらもなんとか打開策を見つけ、
失敗したりしながら敵に打ち勝つだけの力を蓄え、
最後は敵に勝って勝利する。
敵がどんな存在であれ、この展開を採用している物語は多いです。
ミステリを例にするとわかりやすいかもしれません。
殺人事件が起こり(起)、探偵役は連続殺人に発展するのを止められず(承)、
ちょっとした手がかりを掴み徐々に犯人を追い詰め(転)、最後にはすべて解決(結)。
やはり最初から「犯人わかりました!」って言い出して当てちゃう探偵が出てきたら面白くもなんともないですよね。
今回ご紹介した本は主人公がやられっぱなしで終わるので、読後感はイマイチよろしくないですが、その分次巻は盛り上がりが期待できます。
主人公が大きく成長しそうな予感です…!
いかがでしたでしょうか?
本書を読んだのは、五十嵐貴久先生の『リカ』を読んだ後でした。(『リカ』の感想はこちら)
恐怖のヒロインを読んだので、可愛い女の子を読みたくなったから本書を読むことにしたのですが、この本はこの本で、メインヒロインの性格には難ありでした。
その分、今まで登場してきたヒロインたちが総出演してるので、可愛いの補填はできました笑。
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!
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