読書感想|あの娘がやってくる…、リカ(五十嵐貴久)

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リカ 五十嵐貴久 幻冬舎文庫

非常にシンプルなタイトルの本ですよね、読むと、これ以外のタイトルはあり得ないとわかります。

シリーズ化しており、累計55万部を突破、ドラマ化もされている人気作品です。

ホラーサスペンス大賞受賞作品のため、怖いです。

でも幽霊や化け物が襲ってくるわけではないので、そっちは苦手だけど怖いのも読んでみたい、という方にはいいかもしれません。

それでは、これ以降ネタバレあり、ですが、内容をご紹介していきますね。

目次
 1.おおまかなあらすじ
 2.リアルとフィクションの狭間にある恐怖
 3.ホラーサスペンスとはなんぞや?


1.おおまかなあらすじ

愛する妻子を持つ平凡なサラリーマンである本間は、知り合いに唆されて、インターネットで出会い系サイトを利用し始める。

そこで、リカに出会った本間は、彼女と一目会おうと連絡を取り合うが、徐々にリカが本間に執着し始める。

リカの異常性に気が付いた本間は、彼女との連絡を絶ち、なかったことにしようとするが、リカの妄執は本間を追い詰めていく。

容赦なく牙を剥くリカの凶暴さに本間は、リカを排除するために知人や警察の手を借りようとするが、どれも失敗し、リカの魔の手は愛する娘に届いてしまう。

リカと対決せざるを得ないと決心した本間は、リカを誘い出すことに成功するが、人間離れした精神力の持ち主であるリカにより、自分が拉致されてしまう。

危うくリカの犠牲となるところを警察に助け出され、リカは瀕死の重傷を負い逮捕されるが、彼女は止まることを知らないモンスターだった……

2.リアルとフィクションの狭間にある恐怖

リカ、あらすじを読んでいただければ察していただけたと思いますが、ネットで知り合った女がストーカー化して、主人公である本間の日常をどんどんと恐怖に陥れていく内容になっています。

このリカ、元はお嬢様でそれなりの美人、という設定ですが、作中での描写はぼろくそと言っていいでしょう。

時代遅れで年齢に不相応の服に身を包み、ものすごい体臭をまき散らす、どんよりとした闇のような目をしたリカ。

嫌悪感しか感じさせないですね。

リカは本間だけでなく、ちょっと関わっただけのタクシーの運転手にまで恐怖を植え付ける強烈な存在です。

リカの存在だけでも怖いといえば怖い。

しかし、どちらかというと気色の悪さ、という感情の方がリカには相応しい気がします。

この作品の怖さはリカ、でもあるのですが、もっと違うところにも恐怖感が潜んでいる気がします。

私がこの作品を読んで思ったのは、リカが姿を現して襲ってくる後半よりも、姿を見せずネットや電話でやり取りをしていた前半の方が圧倒的に怖かった、ということです。

恐怖の対象が姿を現して具体的に襲ってきちゃうと、ちょっと興ざめしてしまうんですよね。

それよりも、主人公の日常はしっかりと平穏に続いているのに、それを蝕むように近づいてくる、リカがまだ正体を現しきっていない状況の方がリアルな恐怖を感じました。

リカの存在自体はフィクションですが、主人公と出会うきっかけとなった出会い系サイトは現実にも無数に存在します。

出会い系サイトを、利用する、しないはその人の任意です。

でも、そんなサイトを使用せずとも、私たちの身の回りにはSNSというもっと気軽な出会いサイト・アプリがあふれています。

SNSを全く利用していない人の方が、今は珍しいでしょう。

SNS上でいいねをもらったから相互フォローした、なんていうことは実際に会うことを想定していなくとも、気軽にやってしまうことですよね。

しかし繋がった相手が本当はどんな人なのかは知りようもない……

もしその先にいるのが彼女だったら……?

私たちの日常でも、彼女に出会ってしまうかもしれない可能性は常に存在する。

その想像の方が彼女自身よりも怖い。

本書の恐怖は現実とフィクションの狭間にも存在しているのです。

3.ホラーサスペンスとはなんぞや?

『リカ』はホラーサスペンス大賞を射止めた作品です。

もう賞自身は終了していますが、ホラー小説の公募はいろいろな出版社が開催していますね。

ホラー小説といえば、定義は読者に恐怖を与える作風の小説のことをさします。

『リカ』のように人間自身が襲ってきてもいいですし、『リング』のように幽霊や怨念が襲ってきてもいい。

『屍鬼』のように、人間でも幽霊でもない、吸血鬼という化け物が襲ってきてもいいわけです。

さて、それではサスペンスとはなんでしょうか?

Wikipediaによると、

サスペンス=ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またはそのような心理状態が続く作品

と定義されています。

なのでサスペンスというと、絶海の孤島で起こる殺人事件のようなミステリや、ホラーや、ハラハラドキドキするアクションなど、他のジャンルと組み合わせて作品を作っていくことが多くなります。

『リカ』は、リカという恐怖にさらされて不安を抱く主人公の心理状態を読者も疑似体験する、というホラーサスペンス賞にふさわしい内容だったわけですね。

公募賞に限らず、創作を行う際は、「何が求められているのか」は本当に重要です。

どんなに作品自体が優れていても、求められている内容とずれていれば、それだけで落選してしまいます。

かくいう私も、内容はいいけど相手が求めているものと違う、ということでオーディションを落とされたことが数回ございます…

相手が何を求めているか、限られた情報の中で汲み取るのは困難なことが多いのですが、少なくとも努力して拾える程度の情報は拾うべきなんだな…と。

検索すればわかる程度のことは応募してみる前、もっと言えば作品創作に取り掛かる前に調べましょう。

面倒くさいですが、作品を採り上げてもらうための、これは王道であり、結局近道だと思います。


いかがでしたでしょうか?

『リカ』には続編もありますので、いつか読んでみようかと思います。

ちなみにドラマ版のリカ役は高岡早紀さんなんですよね……

うーん、リカをどのようにあの綺麗な女優さんが演じているのか……こちらも気になります。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!

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