スミソニアンの王冠 下
先日、上巻分の感想はアップしましたが、下巻も読み終えましたので感想を書いていきます。
注意!! この後はネタバレを含みますので、嫌な方はブラウザバックをお願い致します。
上巻の最後に、主人公であるグレイの恋人であるセイチャンが、巨大スズメバチの幼虫を植え付けられてしまい、さらに妊娠していることがわかるという、主人公にとってはダブルピンチを迎えたところで終了しました。セイチャンを助けたければ3日以内に体内の幼虫を駆除する方法を見つけなければなりません。
以上の事実から、今回のバイオテロを起こした組織に対して本気で挑むことになるグレイは、ハワイ諸島の中にある敵のアジトに潜入します。
後半の構成は以下の通りです。
ピンチポイント → セイチャンが敵にとらわれる プロットポイント2 → 日本に敵の本拠地があることが判明し、グレイたちが乗り込みに行く
主人公はいよいよピンチに陥り、同時に敵を追い詰めていくことになります。
今回、構成を意識して読んでみて、ぜひ参考にしたいと思ったのは、強くキャラクターにのめり込ませる要素の付け加え方です。
もちろん、味方の命にタイムリミットがついた状態は、緊張感が強い状態といえますが、それが主人公の恋人であれば、そしてその恋人が妊娠までしているとなれば、助かってほしい!と思う読者が多数生まれるはずです。本当に助かるのか?どうやって助けるのか?ミステリー要素も加わって、読者の読む手は止まりません(少なくともわたしはそうでした)。
セイチャンというキャラクターは、シリーズを通して重要な位置につけていますが、好意を持たれるキャラクターかと言われれば「?」かな、と思います(嫌われる要素も特にないという気もします)。やはり、彼女の命に時限がついただけでは、読者の気持ちはそこまで盛り上がらない、だからこそ、より多くのプレッシャーを作者はつけたのだと思います。
ストーリーがどういう落着をみせるか、わかってしまっている作者には、読者に最後まで緊張感をもって読んでもらえるかどうか、客観視することは難しい課題かと思います。この作品を参考に、自分の考えているプロットを少し見直そう……と思いました。
読んでくださってありがとうございました!