中高年のダイエットにも参考になる!「食べる」時間を考察する『時間栄養学入門』読書感想
元ライターが作家目線で読書する当ブログへようこそ!
今回ご紹介する本はこちら
時間栄養学入門 柴田重信 講談社ブルーバックス
時間栄養学、耳慣れない言葉がタイトルのこの本、実は副タイトルがついていて、正確なタイトルはこうです。
『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』
このタイトルを見た時、思わず「お!」と手に取りました。
この記事を書いている現在、私は38歳、アラフォーです。
30後半以降の方には同意いただける方が多いかもしれないのですが、ほんと、痩せない^^;
若い時は「これをすればとりあえず一時は痩せた」という方法がどんどん効果がなくなっていくんです。
これはもうちょっと、食事制限やしっかりと運動時間を確保した本格的なダイエットが必要なのでは……?
そんな嫌な予感に囚われていた時に出会ったのがこの本でした。
この本には
- 「食事」や「運動」は時間によって効果が違う
- 食事を極端に変える、間食を失くすよりも、まずは食べる時間を変えてみるダイエット方法
- 現代の夕食が遅くなりがちな生活にあわせた健康に良い食事のとり方
- 夜ラーメンが体に良くないのは本当だった、その科学的理由
- 年齢別、適した食事内容と食事時間
- やはり朝食はとっても重要だった
などなど、これまでも経験としてなんとなくわかっていたことの科学的裏付けや、これまで知らずにやってた健康に良くないあれやこれ……の新知識を得ることができます。
正直、この本を読んで少し怖くなりました。若いころの食生活がかなりやばかったことを知ったからです。
でも、今のうちに知れてよかったとも思いました。自分もそうですが、家族の健康により気を配れる知識が身に着いたと思います。
それでは、本書の内容を簡単にご紹介したいと思います。
1.「時間栄養学」とは
まずは本書のタイトルにもなっている「時間栄養学」とはそもそもどういう意味なのかからご紹介しましょう。
平たく言えば、これまでの栄養学に「時間」の要素をプラスした新しい栄養学、ということになります。
これまでの栄養学は1日でカルシウム〇mg、鉄分△mg……など、栄養ごとに接種すべき量を考察する学問でした。これまでの栄養学にも当然「時間」の概念はありましたが、その時間は赤ちゃんのころ、幼児期、児童期……高齢期と、年齢世代別に接種すべき栄養量を考えた、長期間の「時間」を考慮したものです。
対して「時間栄養学」はというと、「時間」はもっと短期間の1日という単位でみます。
私たちの体内には「体内時計」という1日の生活リズムを刻んでいる時計が備わっています。おおざっぱにいえば、朝になったら起きて、昼は活発に活動し、夜になったら眠くなるといったものですね。
そして、この「体内時計」と栄養の関係を詳しく調べていくと、同じ栄養でも、一日の中で接種すると吸収率がいい時間帯があったり、接種する時間帯で効果が異なったりすることが分かってきたのです。
例えば身近な食材で言えば「納豆」。
我が家では朝ご飯に食べることが多いのですが、あなたのおうちではどうでしょうか?
納豆は大豆を原料にしている優秀なたんぱく源というイメージですが、朝食べる分には、その認識で間違いありません。
ところが、納豆を夜に食べると、たんぱく源としてよりは別の栄養素として体内で効果を発揮することがわかってきたのだそうです。
納豆の他にも、緑茶や乳製品なども、同じように朝と夜では効率よく摂取できる栄養素が異なるのだそうです。
これ、なかなか驚きじゃないですか?
もし背を伸ばしたかったら、牛乳を飲むにも効率のいい時間帯がある!ということです。
今がまさに成長期の息子がいる身としては、牛乳を多く飲ませる時間帯をずらそう、と思いました。
他にも、朝、昼、夜の食べる時間帯別に適した調理法も紹介されています。揚げ物は夜食べるイメージですが、調理法としては夜よりも適した時間帯があるそうですよ。
他にも朝カレーは理にかなっていることや、夜ラーメンはやはり体に悪いといったことの科学的根拠も記されています。
役立つ知識と共に、トリビア的知ってると話題にできそうな雑学も知れて興味深かったです。
2.具体的かつ実行可能アドバイス
本書を読んでいて「時間栄養学」の知識が得られる以外に「これはいいな!」と思ったところがもう一つあります。
それが、ダイエットなど、現代人の悩みに対して具体的、かつ実行可能なアドバイスをくれるところです。
ダイエットしようと思っていても「いきなり全部の食事をサラダにできますか?」と聞かれれば、本音では「No」と言いたい人が多いでしょう。
それに現代の生活では、夜遅くに食べるのは良くないことはわかっていても、塾や仕事でどうしても食べるのが遅くなりがちです。
いくら「時間栄養学」の知識を身に着けても、無理に今の生活スタイルを変えることは難しいですよね。
でも本書はそんな読者の気持ちをちゃんとわかってくれています。
分かったうえで、ダイエットをするなら間食はこの時間にこういうものを食べるとよい、夜遅くなるなら何時ごろまでにこれだけは食べておこう、といった具体的でちゃんと実行可能なアドバイスをくれています。
この「具体的」で「実行可能」というのは、すごく大事だと思います。
いろいろと本を読んでいると、「今の自分を変えたいならこれをしろ!」と提案してくる本にも出会うのですが、まあ、読者の気持ちを分かってない本が多い(笑)
人間はそう簡単には変われないんです。おそらく、そういう本を書く著者から言わせれば「覚悟が足りない」といったことになるのでしょうが、本を書いてしまうくらいの覚悟と信念を固めている人間からしてみれば、多くの読者は「覚悟が固まっていない」ことになるでしょう。
やはり、読者のことを考えるなら、現実の生活を見据えたアドバイスをまずは書くべきでしょう。
その点、本書は安心して受け入れられる本だと思います。
3.反省しかない、若いころの自分
また、本書を読んで心の底から感じたことがあります。
それが「若いころの自分に謝りたい!」ということでした。
朝ご飯は抜かすは夜は暴飲暴食だわ……自分の身体を知らずにそうとういじめ抜いてしまっていたことが本書を読んでわかりました。
朝ご飯、本当に大事ですね。
もしこの記事を読んでいるあなたが、午前中どうもぼーっとしてしまってエンジンがかかるのが遅いと思っているとしたら、それは「時差ぼけ」のせいかもしれません。
海外にいったわけでもないのに「時差ぼけ?」と思われるかもしれませんが、この「時差ぼけ」は体内時計の狂いのことをさしています。
体内時計が順調にリズムを刻んでいれば、午前中のエンジンがかかるのが遅い、ということは回避できるそうです。
では体内時計を狂わせているものは何か……? いろいろな要因がありますが、本書のテーマは栄養学、まずはきちんとした食生活が大切、ということになります。
特に朝ご飯! 繰り返しになりますが、本当にちゃんと食べた方がいいです。本書にはその根拠もきちんと書かれているので、どんな言葉より身に染みて理解できました。
我が家も朝ご飯の充実を頑張ろうと思います。
いかがでしたでしょうか?
- 食べる時間で異なる栄養の効果や吸収効率
- 実行可能な食生活のアドバイス
- 食生活から体内時計を整える
などなど、有益な情報が本書にはたくさん書かれています。
他にも本書には年齢別で体内時計を分析した食生活のアドバイスや、運動や服薬にも体内時計との連動が重要なことなどがわかります。
講談社ブルーバックスは一般書よりも詳細に、しかし専門書よりも易しく、難しいことを素人にもわかりやすく伝えることをモットーにしたレーベルなので、新しい知識を得たい、勉強したい方にもぴったりです。
どこかで本書を見かけたら手に取ってみてくださいね。
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。
よろしければ感想など、コメントに残していってくださいね。