秘密がある登場人物たちが魅力:「警視庁公安分析班」シリーズの登場人物紹介

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このページでご紹介するのは『警視庁公安分析班』シリーズの登場人物紹介です。

大人気シリーズ『 警視庁殺人分析班 』のスピンオフ作品で、主人公は『 警視庁殺人分析班 』にも出てくる鷹野秀昭です。彼が捜査一課から公安五課に異動した後のお話が語られています。

ジャンル的には警察小説になる『警視庁公安分析班』シリーズは、警視庁の中でも謎めいた組織、公安をとりあげています。公安は絶対秘密主義組織のため、異動したての鷹野に対して、公安五課のメンバーの冷たいこと冷たいこと……

そのため、最初は鷹野以外の登場人物の個性が表面的にしか見えてこず、鷹野に同情するほど、人間関係良くない職場に思えたんです。

でも、スルメじゃないですが、読めば読むほど公安五課のメンバーの人間らしさが見えてきて、「あれ? みんなけっこう良い人なのかも」と思えるようになりました。

公安五課のメンバーにはそれぞれ隠された過去やトラウマのようなものも見え隠れしており、これからの続刊でそれらが明らかになるのも楽しみな要素の一つです。

また、シリーズを通して重要になりそうな事件や単語の説明も併せてこのページでご紹介したいと思います。

現在 最新作で2作目の 『偽神の審判』の内容まで反映してあります。

(最終更新日 2021年11月18日)

新しくシリーズを読むたびに更新していきますので、しばらく経ってから見に来ると内容が変わっているかも……

ぜひ、また覗きに来てくださいね。

目次  1.登場人物紹介
        鷹野秀昭(たかのひであき)
        氷室沙也香(ひむろさやか)
        佐久間一弘(さくまかずひろ)
        国枝周造(くにえだしゅうぞう)
        能見義則(のうみよしのり)
        溝口晴人(みぞぐちはると)
        葬儀屋(そうぎや)
        早瀬泰之(はやせやすゆき)
    2.重要なキーワード紹介
        沢木政弘殺害事件
        公安五課
        エス
        

『警視庁公安分析班』シリーズのあらすじや感想はこちら↓


1.登場人物紹介

鷹野秀昭(たかのひであき)  ドラマ:青木崇高

37歳、警視庁入庁15年目、警部補、身長183cm、本シリーズの主人公。作中、特にイケメンという描写はないが、ドラマの鷹野役はイケメンさんである。

元刑事部捜査一課11係所属で、殺人などの凶悪犯を担当していた。(そのころのお話は『 警視庁殺人分析班 』シリーズで語られています)捜査一課時代はエースで、検挙率も高かった。

現在は公安部公安第五課に異動。希望しての異動だった。9年前の相棒、沢木殺害事件が公安に異動希望を出すきっかけとなった。(沢木殺害事件については後述しています)

百均をのぞくことを趣味にしているが、もとはといえば捜査の一環として行っていたことが習慣化したものである。仕事がプライベートに浸食してくる仕事人間タイプのようだ。

捜査中に、いろいろと写真を撮りまくり、後でじっくり見直して推理の役に立てている。

本シリーズの地の文は鷹野目線で書かれているのだが、刑事という職業柄なのか、人間観察や性格分析を行っている描写が多い。

推理が得意で、頭もよく切れる人物であるようだが、性格は意外に熱く、強い正義感の持ち主である。例えば、捜査のために隠密に行動しているにも関わらず他の犯罪が見過ごせなかったりするなど、年齢とキャリアにしては青臭さが残っているところに彼の性格の一端がよく表れている。

公安に異動した直後、上記のように捜査のためには目の前の犯罪も見過ごすという公安の捜査方法に疑問を感じ、さらに叱責も重なり、鷹野は凹んだが翌日には立ち直っていたタフメンタルの持ち主。

当初、公安五課のメンバーには冷たく扱われていたが、彼の熱意が徐々に通じ、雑談したり、過去の事件の情報開示もしてもらえるようになってきている。

公安五課内でコンビを組まされた沙也香のことは、彼女の公安捜査員ならではのシビアな思考のために度々衝突するが(といってもお互い大人だから口ゲンカ寸前くらいで終わるのだが)、彼女の公安駆け出し時代の過去を知ったりするうちに相棒として受け入れるようになる。また、公安捜査員の時に非情になりきるシビアさについても、彼らも厳しい状況のなか、限られた選択肢で最善を選び続けているプロ集団なのだと認めるに至っている。

一方で、エスという民間人スパイと脅したり金で釣ったりして獲得したり危険な捜査をさせたりすることには疑問を持っている。ちなみに、捜査一課時代からの情報屋との繋がりはまだ維持しており、そちらとの関係は良好のようだ。

トマトが好きらしく、よくトマトジュースを飲んでいる。サンドイッチにもトマト入りを選んでいる。しかし、トマトケチャップは甘いためあまり好まない。(甘いか?)

美術館や博物館に行くことが好き。作中にも登場する「死者の書」というエジプト文明が残した神話の裁判の部分の概要を覚えているほど好んでいるらしい。

氷室沙也香(ひむろさやか)  ドラマ:松雪泰子

39歳、公安歴12年、公安五課主任、警部補、本シリーズのヒロイン。

髪はセミロングのストレート、やや吊り上がり気味の目をしている。ドラマ版の配役通りの美人で、スタイルもよい。常にパンツルックで、ネックレスをつけている。普段は冷静沈着なクールビューティーだが、緊張したり動揺するとネックレスをいじる癖がある。

優秀な刑事で、

  • 人のちょっとした仕草やそぶりによく気が付く観察力
  • 現場到着直後なのに完璧に事件の概要を調べ上げる情報収集力
  • 収集した情報を的確に報告する分析力
  • 優れた記憶力
  • 武道の心得があり、成人男性を投げ飛ばせる

など、警察じゃなくてもどこの組織でも活躍できそうなスペックの高さである。

公安らしく、情報セキュリティに対しても慎重で、厳重な管理を他人にも求める。

仕事中は常にクールな姿勢を崩さないが、愛想笑いができないわけではない。

鷹野がミスをした時に、責めるのでもなく優しくするのでもなく、淡々と正論で諭した知的で大人な女性である。

公安としては新人の鷹野とコンビを組まされ、最初は氷か鉄でできているのかとおもわれるような分厚い壁を周りに築いていた。しかし、徐々に鷹野の推理力と熱意に壁が低く薄くなっていく。刑事部時代の考え方にこだわる鷹野に同調してくれる最初のメンバーとなった。過去の話や彼女自身の考えも話してくれるようになる。打ち解けるに従い、少々ツンデレっぽい性格に変化しつつある。例えば、鷹野が佐久間ともめた時に、沙也香は鷹野をかばう発言をしたので、後で鷹野が礼を言うと、「あなたの意見も評価できると思ったからよ、助けたとかじゃないから」とツンツンしつつ、自分の態度を正当化していた。

犯罪の発生を防ぐのが仕事の公安の仕事は損な役回りだと思いつつも、公安の仕事に自分なりの矜持があるらしく、他の仕事に回る気はない。

過去に彼女に関わって人死にが出たことをほのめかす文章がある。そのことを気に病んでいたが、そこを佐久間に拾われた。その後、沙也香は立ち直り、生来の生真面目な性格も功を奏して現在のような冷徹な公安捜査員として頭角をあらわすようになった。

親戚が奥多摩にいて、小さいころ遊びに行ったことがあり、その時の記憶は両親との大事な思い出として沙也香の中に残っている。

自他ともに認めるリアリストだが、意外に言霊の存在を信じており、大事な場面で不吉なことを言われると「やめて」と顔をしかめるなど、可愛らしい一面もある。

佐久間一弘(さくまかずひろ)   ドラマ:筒井道隆

公安第五課班長、鷹野の上司。

卵のような顔に綺麗に整えられた髪と、一見、役所の職員風(鷹野談)。しかし、絶対的かつ超厳しい公安五課の班長である。たとえ1分の遅刻ですら命令違反であると鷹野は叱られた。他のメンバーも彼には絶対服従の構えで、命令を完遂することに沙也香辺りは達成感まで見出しているようだ。しかし、国枝に対してだけは一定の敬意を感じられる言動をとっている。

ただ厳しいだけの性格の持ち主ではないらしく、極めて合理的な思考の持ち主であることもうかがえる。公安の捜査に馴染めない鷹野を叱責した翌日、新情報という成果を手土産に持ってきた鷹野に自由な発言をゆるすなど、割り切り方が潔いとすらいえる。

ストレスが溜まると感情的になって壁を殴ったりする姿を見せている。かなり怖い。

佐久間にも苦い過去があり、一時は無能な上司のせいで左遷される寸前だった。しかし、新チームを立ち上げることを許された佐久間は、自身が理想とする公安刑事を実現するために奮闘してきた。鷹野をチームに受け入れたのもその一環である。

国枝周造(くにえだしゅうぞう)  ドラマ:小市慢太郎

50歳前後、公安五課所属、巡査長、現在一人暮らし。

白髪まじりで物腰柔らかな感じから小学校の校長先生のように見える(鷹野談)。しかし、食えない狸のような本性が垣間見える。

公安として非情になりきれず、命令違反をおかそうとする鷹野を自身は安全圏にいつつ手引するなど、情に厚い部分もある。彼がメンバーに対して親切に振舞うのは、彼なりに公安五課の役に立とうと考えての琴である。

また、独自の情報網があるのか、鷹野と沙也香の間にひと悶着あった翌日に意味深に笑いかけるなど、底が知れないところがある。

年齢にしては意外だが、システムやパソコンに強い。あと、意外と足も速い。

カオルと名付けられた金魚(だるま琉金、高い種類らしい)を飼っており、その見守りのために監視システムを自宅に導入している。

過去に捜査対象に妻を拉致され、それ以来彼女は行方不明になっている。

公安に異動した当初はやる気がなかったらしいが、現在は誇りを持って仕事に取り組んでいる。

公安五課の佐久間班では国枝が1番の古株であり、感情がたかぶった佐久間に冷静に意見できる稀有な人材。過去に佐久間を助けたことがあるらしい。

能見義則(のうみよしのり)  ドラマ:徳重聡

43歳、公安五課所属、警部補。公安五課のサブリーダーである。

短髪に鋭い目つき、180越えの鷹野よりも高い身長にがっしりとした体格と、ザ・刑事な見た目をしていると思われる男。そのゴツイ見た目通りの中身をしており、短気で横柄で高圧的な性格をしている。殺人事件の捜査方法を知っていたり、隠密捜査中に場に溶け込むために陽気な男を演じたりとけっこう芸達者な一面もある。ただ、身のこなしが素人にみえない(鷹野談)。

情報収集のために夜の街に繰り出しているらしい。

異動したての鷹野に対して敵意むき出しであり、攻撃的な態度は話が進んでもあまり変化はない。しかし、現場の写真を見返している鷹野に「数日経った現場も見てきたらどうだ?」とアドバイスめいたことを言ったり(『邪神の天秤』)や、刑事部の現場百篇を見習い、成果を上げた後に「刑事部のやり方を認めてやってもいい」(『偽神の審判』)と得意げになったり、かなりの歩み寄りをみせるようになった。これらのシーンから一見脳筋タイプに見える能見だが、いろいろ考えていることも伺える。

能見が佐久間班に異動したのは国枝に次いで2番目。その頃は国枝のひょうひょうとしたキャラクターが公安にふさわしくないと思っていた。能見が思う公安捜査員は時に人をだましたり、違法捜査も躊躇しない厳しさを持っているべきだと考えるなど、かなりシビアである。

溝口晴人(みぞぐちはると)  ドラマ:福山翔大

32歳、公安五課所属、巡査、公安歴は意外に長く5年。

小柄でゆるいパーマ、茶色のフレームメガネをしている。オンオフの切り替えがはっきりしているタイプで、仕事モードに入ると顔つきが厳しくなるが、そうでない時は軽口を叩いたりしている。公安五課のメンバーの中で、初対面の鷹野に対して、唯一気軽に話しかけてきた。ただし、話しかけた動機は自分の好奇心を満たすためだったらしい。好奇心が隠せていない(鷹野談)とバレバレだった。

公安の前は捜査一課の科学捜査係でIT関係の捜査を担当していたため、パソコンやIT系に強く、公安に異動した今でもその方面を担当することが多い。

公安に異動したきっかけは捜査一課所属時に起こした不祥事が原因。そのためか、公安に異動した当初はやる気がなかったらしい。現在は恩人である佐久間の役に立とうと考えている。

公安五課のメンバーについても、能見は仕事熱心、国枝は話しやすい、と概ね好感をもっている。沙也香だけは彼女の自他ともに厳しい性格のために苦手意識を持っている。鷹野に関しては、異動してきてくれたおかげで雰囲気が変わったことを素直に喜んでいたらしい。

あまり公安警察らしくないタイプにみえるが、ちゃんとエス(捜査協力者のこと、詳しくは後述)を持っている。

ピッキングも得意。

トマト好きで、オムライスにはケチャップどっさり派で、それを見た沙也香が嫌そうな顔をしていたことを覚えており、少し根に持っている様子。

葬儀屋(そうぎや)

正体不明の殺し屋。葬儀屋は通称名である。

彼がかかわった事件にはトレードマークのようにワニのマークを残していく。

9年前、爆弾テロを企画し、3か所同時に爆発するように仕掛けていた。公安の活躍により、爆弾テロは未遂に終わった。9年前の爆弾テロ未遂を最後に活動をやめており、生死すら不明状態だった。

早瀬泰之(はやせやすゆき)  ドラマ:渡辺いっけい

警部で元鷹野の上司。刑事部捜査一課第11係の係長である。

銀縁メガネをかけている。

責任感が強くストレスの影響で胃を痛めることが多いらしい。事件が起きると胃薬が欠かせなくなる。

2.重要なキーワード紹介

沢木政弘殺害事件

9年前、東京都板橋区常盤台で発生した事件。

当時、まだ刑事部にいた鷹野と、その時の相棒で新人の沢木政弘が関わった事件。

怪しい人物を見つけた鷹野が、これも練習だと、沢木に一人で職務質問をさせた。その時、少しの間、沢木たちが鷹野の死角に入り、その隙に沢木が包丁で刺されて、そのまま殉職してしまった。捜査は迷宮入りしてしまったが、鷹野は諦めきれずに一人で情報収集をずっと行っている。

凶器になった包丁は百均で購入されたもので、鷹野は捜査のために百均をのぞくようになり、以来、習慣になってしまった。

犯人に関して判明している情報は身長175cmくらいの男である、くらいしかない。鷹野の情報収集で手に入った唯一の有力な手がかりは、沢木殺害事件の当日、現場付近で公安部がなんらかの活動を行っていた、というもの。沢木殺害事件との関連があるかどうかも不明であるが、鷹野は公安部の情報を知りたいと願い、公安への異動希望をだすきっかけとなった。

生前の沢木は人好きがするタイプで上司受けもよく、聞き込みでも相手をリラックスさせて情報を仕入れてくるのがうまい刑事だった。

沢木の姉、美香と鷹野は面識があり、事件を解決すると彼女に誓ったことがあるらしい。

公安五課

鷹野たちが所属する部署名。

警視庁内にオフィスはあるが、本当の活動拠点は別にある。

警視庁本部から歩ける距離にある別のビル内にある分室が活動拠点で、「株式会社東部セントラル企画」というプレートがオフィス前には貼られている。

中は個人のデスクやパソコン機器を備えた執務室と会議室、資料室があり、なんと極秘の取調室まである。

エス

いわゆる隠語というやつで、捜査協力者をさす言葉として公安部で使用されている。

捜査協力者といえば聞こえがいいが、要は民間人をスパイとして捜査員個人が子飼いにしているようなものである。

スパイになるきっかけは様々あるが、沙也香のケースだと、捜査対象の組織に元々所属していたメンバーが困っていた時に救いの手をさしのべ、その恩返しとして彼女のエスとなった。

他にも金銭、過去の事件のもみ消し、身の安全などを見返りにすることが多い。捜査対象組織の外部にいた人間をスパイとして潜入させるパターンもある。

エスになるのは当然危険が伴う行為だが、見返りとして生活の援助や、エスの家族を警察の保護下に置くなど、エスにとってもメリットのある取引行為でもある。

担当者の性格にもよるだろうが、沙也香は強いストレスにさらされがちなエスのメンタルケアも業務の一環としている。

この作品の世界観では、スパイ行為がバレてピンチになったエスを、捜査状況によっては救助しないという選択肢もあるようだ。

実際のところ、エスの存在を含めて本当のところはわからない。


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