読書感想|号泣しました、キングダム55巻(原泰久)

映画も大好評だったらしいキングダム、最新55巻を読みました!

キングダム 55 原泰久先生作 ヤングジャンプコミックス(集英社)

長く、秦にとってはつらい趙攻めの戦いが続いていますが、光明が見えてきました。

しかし、戦争には悲劇と犠牲がつきもの……

号泣必至の巻です。

外で読む時はご注意ください!!

目次
 1.簡単なあらすじ
 2.キングダムならではの表紙
 3.リーダーになってほしいのはこんな人
 4.例えていうならスポーツマンシップ

※この後はネタバレがありますので嫌な方はご注意ください。


1.簡単なあらすじ

怒涛の攻めを見せる飛信隊。しかし、経験が浅い新兵たちは敵に包囲されてしまう。助けに駆け付けた松左だが、敵の包囲網は厚く、飛信隊にとっては大きな犠牲が出てしまう。
そして、同じく飛信隊隊長の信も敵に囲まれ、窮地に陥ってしまう。
しかし、羌瘣の活躍で死地を脱すると、信は敵将の一人である趙峩龍を追い詰め、一騎打ちにに持ち込むことに成功する。

2.キングダムならではの表紙

漫画の表紙って大切ですよね。

CDで言うならジャケット、ジャケ買い、なんて言葉もあるくらいですから、購買意欲をそそらせるものが好まれます。

本屋に並んでいるのは気合の入った作者渾身のカラー絵です。

表紙を飾るのは主人公やヒロイン、その巻で活躍するキャラクターたちがとってもかっこかわいく描かれるものです。

今回のキングダムの表紙はどうでしょうか?

信、 羌瘣、ここまでは順当。

味方の中でもしっかりとした個性が与えられている大事な脇役である松左、今回の大ボスである趙峩龍も妥当な線です。

しかし、表紙を飾っている人物はまだいます。

右下の彼、干斗という名前の新兵です

前巻読んでから時間が空いてしまったので、わたしは名前を忘れてました……

本来なら表紙を飾るようなキャラクターではまだないでしょう。

将来、もっと読者に馴染んでから表紙に登場するのが普通だと思います。

しかし、この干斗は、今回とても重要な役どころを果たします。

読者と一緒になって大いなる犠牲を悲しみ、成長の兆しを見せるという大事な役目です。

だからこその表紙抜擢!

うーん、熱い選択だなあと思います。

ヤングジャンプ本誌の表紙を飾った、50巻発売&映画化決定の時の表紙を思い出します。

表紙には死んでしまったキャラクターも含め、多くのキャラクターがひしめいていましたが、信の左隣という大切な場所に、1話で死んでしまった漂が描かれています。

信の幼馴染であり親友であり、志半ばにして死んでしまった、漂。

作中での出番は少なくとも、信にとっても、作者にとっても大事なキャラクターです。

大事な記念カラーの表紙に彼をしっかりと描くとは……

この絵にも当時、作者の熱量をすごく感じたものでした。

3.リーダーになってほしいのはこんな人

キングダム関連の本で多いのはリーダーシップ論ですね。

この漫画には実に多くのリーダーが出てきます。

こんな上司がいたらなあ、と思える理想的なリーダー像も見つかるのではないでしょうか?

理想とする上司の筆頭にあげられるのが、おそらく信だろうと思っているのですが、彼がリーダーである所以が、腕っぷしの強さだけではない理由がわずか数ページで描かれています。

それがどこかは、ぜひ読んで見つけてください。

リーダーとは皆の期待に寄り添い立つ人であるべきなんだと、

そしてパフォーマンスではなく、自然にそういう振る舞いができる人になってほしいと

作者のリーダー理想像がしっかりと感じられました。

今、これを書くためにちらりと読み返しましたが、また号泣してしまいました(TT)

4.例えて言うならスポーツマンシップ

数々の窮地を乗り越え趙峩龍との一騎打ちに持ち込んだ信ですが、敵将も簡単には倒れてくれません。

ただ単に強いからではなく、趙峩龍自身にも負けられない理由があります。

実際の戦場で、どのような心理に至るかは、私には想像もできません。

目の前にいる敵を憎いと思うのか、怖いと思うのか、生きるためには殺すしかないと思うのか……

キングダムでは、それ以上の高次の感情を戦う理由として挙げているキャラクターが多いです。

主君のため、名誉のため、志のため。

憎しみや恐怖はわかりやすい感情ですが、共感は呼ばないですよね。

それ以上の理由をつけるからこそ、キングダムは多くの人に支持される漫画になっています。

それを象徴するコマがあります。

趙峩龍との一騎打ちの最中に、これまで彼を成長させてくれた友人であり、そして手強い敵たちが信の頭をよぎります。

味方だけじゃなく、敵の顔も思い出すんですね。

信は、戦った相手に憎しみや優越感を持っているわけではないことがわかります。

尊敬を持って、記憶に刻まれています。

死闘を繰り広げた相手に尊敬を感じるとはどんな心境か、と平穏に生きてきた私なぞは思いますが、例えて言うならスポーツマンシップに近いのかな、と思います。

体力と気力を振り絞って勝った相手に、選手が侮りを感じるでしょうか?

試合の後に顔も見たくないと握手も拒んで去る選手が……これはいるかもしれませんが、そんな選手は相手からも観客からも、いくら強かろうが尊敬されませんよね。

全力を尽くして勝った相手だからこそ、尊敬する。

スポーツマンシップともいわれるそれに、信の感情は近いのだと想像しました。


いかがでしたでしょうか?

もうすぐ趙攻めも終わり……という予感を見せて終わった55巻でした。

涙あり、歓喜あり、ハラハラ感ありと、いろいろな感情を感じさせてくれる漫画です。

漫画や小説で主人公などに共感して感情が動くと、ストレス解消効果があるそうです。

ちょっと気分がささくれ立った時に、キングダムを読んでみる、と……効果が抜群かもしれませんね。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

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