創作者目線の読書 ビフォー・アフター

少しの間ですが、ライターとして活動し、創作者が何を考えて文章を作り上げているか、触れることができました。
その間は文章を書く力を伸ばすことに懸命で、シナリオライターや小説家のノウハウ本なんかも読みましたし、職場の研修にも積極的に参加しました。
その結果、元々読書が趣味で、活字大好き人間だった私には嬉しい変化が起こりました。
文章を書く力を磨くと、読書する力が飛躍的にアップしたのです。

これは、仕組みも何もわからずに使っている家電やPCのでも、その裏の仕組みが分かればより使いこなすことが簡単になるのと同じことです。
文章の書き方が分かれば、文章の読み方もよりよく分かるようになります。

しかし、文章を書く練習をするのは多くの人には大変な作業です。
上手に文章を書けるに越したことはないですが、伝わればいいや、という場面が大半だと思います。
なので、私はこのブログを通して、創作者目線の読書をみなさんにお伝えしていくことにしました。
私が吸収してきた文章を書くノウハウを活用した読書感想をお伝えして、文章を書く練習をしなくても、皆さんがより読書を楽しめるようにという思いからです。

さて、では具体的に、どのように読書する力がアップしたのか、ビフォー・アフターを紹介します。
活字を読むのが苦手な方でも大丈夫、漫画でも効果が表れた! という例をあげますよ。


家庭教師ヒットマン REBORN!

少年ジャンプで連載されていた天野明先生の作品です。
もう連載終了してから10年以上経つでしょうか?
私も作品に触れたのは連載終了してかなり経ってからでした。
しかし、未だにグッズが作られ続け、舞台化もしているという化け物作品です。

簡単なあらすじ

ダメツナがあだなの、勉強もスポーツも何をやらせてもダメダメな中学生・沢田綱吉のもとに、ある日一人の赤ん坊・リボーンがやってきます。
その赤ん坊は、イタリアンマフィア最大勢力であるボンゴレファミリーのボスである9代目の命令を受けて、綱吉を次期ボンゴレ10代目ボスに育てあげるために送られてきた最強のヒットマン、兼、家庭教師だったのです。
リボーンの無茶苦茶な指導に日々命が縮む思いの綱吉ですが、リボーンのおかげで、初めての友人ができ、少しずつ、ダメツナなりに成長をし始めていきます……

コミックスで42巻ありますが、1~7巻までは日常を描いたギャグ漫画、それ以降はバトル漫画と、内容が変化します。

ギャグパートはなんのために?

ギャグ漫画からバトル漫画へ、途中から変わるリボーンですが、内容はバトル漫画になってからの方が面白いと個人的には思います。
最初からバトル漫画じゃだめだったの?とすら思っていました。
しかし、ライターの経験を経てから、創作者目線の読書で読み直すと、ギャグパートの大切さがしみじみわかってきました。

主人公のダメツナは、連載初期は本当にダメダメで、ちょっとした困難にもすぐに逃げてしまう弱い少年でした。好きな女の子もろくに守ろうとしないのです。
そんなダメツナにいきなりマフィアのボスとして戦えといっても、無理がありますよね。

そのダメツナを鍛えるために、REBORNでは「死ぬ気弾」という、一度死んで、ここで死ぬくらいなら死ぬ気でもっと頑張ればよかった…! という思いで生き返り、超人的なパワーを発揮するという、ドーピング技を使ってダメツナに自信を持たせていきます。

あくまでドーピングだし、撃たれるのは嫌だしで、綱吉は死ぬ気弾を嫌がりますが、死ぬ気になれば自分にもできることがあるんだ、と徐々に気が付いていきます。
そしてダメツナがは弱いなりに、好きな子くらい守ったり、困っている子供を助けようとするくらいには成長します。

バトル漫画に変化を遂げる前に、ダメツナが少しくらい強くなったと読者に認識を植え付ける準備がギャグパートだったのです。

仲間の成長

成長するのは主人公ダメツナだけではありません。
その友人の獄寺、山本、雲雀といった、バトル漫画以降は戦友にもなるキャラクター達も、微妙な成長を遂げています。
獄寺であれば、がむしゃらに戦うだけでなく少しは知恵を使うように、山本であれば、戦いの道具である刀というアイテムを手に入れさせたり、雲雀であれば、目的が合致するときくらい一緒に戦うように、と小さな変化を日常の中に落とし込んでいます。

この小さな変化が、バトル漫画になってから、一緒に戦う理由や、戦い方を知っている理由になっているのです。

些細な変化に気づけるようになった

と、ここまでREBORNのギャグパートの役割を書いてきましたが、創作者目線の読書をするまでは、全く気付いてませんでした!
それは作者が作品の中にさりげなく、要素を散りばめていた成果であり、私の読書力のなさによるものです。
読者に展開を納得させるために、その伏線を全部を意識的に認識させる必要はありません。
ダメツナが自分たちを傷つける敵が現れたときくらい、勇気をだして立ち向かえるようになった、その成長を、読者が気づく必要はないのです。
あくまで、違和感がない展開になっていれば、それでいいのです。

しかし、ちゃんと作者の意図を感じ取り、気づけるようになることで、小さなコマのセリフの意味や、キャラクターたちの行動の変化をしっかりとくみ取れるようになります。
その方が、読書をしていてより楽しめるのは、明らかですよね。

REBORNを例にして、創作者目線の読書をすれば、よりよく読書を楽しめることを説明してきました。
これからも少しずつですが、読書感想をあげて、読書をより楽しめる目線をお伝えしていきたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

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