育児|3歳息子のかわいいお手伝いのはずが……今年一番の恐怖

小説風育児日誌です、どうぞ!

幼稚園でクッキングパーティーをしてきた息子。
メニューはミックスゼリーだったらしい。想像するに、ゼリーのもとに水を混ぜて、冷やせばできあがりの簡単ゼリーだろう。
息子にとっては楽しい体験だったようで、「お料理もっとしたいなー」と、台所をよく覗きに来るようになった。
お手伝いをできる範囲でさせてあげようと思うのだが、危ないので火と包丁はまだ扱わせていない。
やるな、と言ったことからやろうとする天邪鬼が治ってから挑戦させよう。
必然的に、息子がお手伝いできるのは野菜を洗ったり、調味料を混ぜたり、冷蔵庫から何か取り出したりと、限られてくる。
気に入ったのは冷蔵庫であり、「今日のフルーツは何にしましょうね~」と朝起きて冷蔵庫の前で待機していたりするのでかわいいやら邪魔やら、複雑な気持ちだ。

そして、ある夜、「今日の夕飯なに?」と聞くので「親子丼だよ」と答えると、「じゃあ一緒に作る!」と言い出した。
親子丼で息子が手伝えそうなことといえば、わりしたを作ることくらいだろうか?
「ママがトイレ行ってから作ろうね、待っててね」
そう言い残してトイレに入ると、息子のご機嫌な声が聞こえてきた。
「おやこどーん、おやこどん♪」
適当に鼻歌を歌っているらしい。
(かわいいなあ……)
「おやこどんには~、卵が必要ですね!」
(おおー、よく知ってるなあ)
「卵はねえ……」
ぱきゃっ
(ぱきゃっ? って、あの音……!!)
特徴的な音が聞こえ、私は大慌てでトイレから出て、手を洗って、台所に急いだ。「ちょ、ちょっと待って! 動かないで!!」叫ぶように息子に声をかける。
台所では、きょとんとした顔で冷蔵庫を開け、卵を取り出そうとしている息子の姿があった。
「た、卵は……?」
まだ卵ケースから取り出す前だったらしく、全部無事だった。
「ほ、本当に、もう……!」
なんと言っていいやらわからず、特に息子に言葉はかけず、とりあえず一緒に卵を取り出した。
実は、こういうケースが一番困る。息子は悪気があったわけではないし、そもそも悪いことをしていたわけではないのだ。叱るのも変な話だ。
私が戻ってきたので、いよいよ卵を割れると思って、息子はテンションが上がってにこにこと「早くやろう!」とせっついてくる。
(ま、まあいいか。何事もなかったし。それにしても……)
この日のわずか数分の出来事は私にとって、今年一番の恐怖だった。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

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