絶対に通ってはいけない

小説風育児日誌です、どうぞ!

息子は電車が好きだ。そして、電車に関係するものも概ね好きだ。
この間、父親を相手に改札ごっこをしていた。
カードをかざしてピッ、と通る、自動改札の役を息子がし、父親が利用客である。
息子の改札はなかなか意地悪で、簡単には利用客を通してくれない。
「ピンポーン!」
「あれ? チャージ不足かな? お金をチャージして、もう一回、ピッ」
「ピンポーン! 駄目でーす、通れませーん」
「えー!?」
みたいなことをひたすら繰り返していた。
その内、父親も意地でも通ってやると思ったのか、強引に通ろうとしていたが、息子のガードもなかなか固い。
意地悪改札はレベルをあげていった。
「パパは通れないんです!」
「トイレしてこないと通れません!」
「アンパンマンのおもちゃを買ってくれないと通れません!」
もうなんでもありになってきていた。
そして、息子の妨害は言葉を越えた。
「改札が上に上がりますから通れません!」
確かに、息子は精一杯の背伸びをして、改札の真似をしていた両腕を上にあげていた。
「くそー!」
父親はどうしても通れない改札を前に悔しそうである。
しかし、わたしはどうしても突っ込みたくて仕方なかった。
「その改札、下、通れちゃうんじゃない?」

それを言ったらおしまいでしょ、という父親の無言の圧力を背中から感じた。


読んでくださってありがとうございました!

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