ただじゃ転ばない?
小説風育児日誌です、どうぞ!
幼稚園バスから降り立った息子は、朝着ていったのとは違う服を着ていた。
「え!?」
驚くが、息子の両手に抱えられている荷物を見て、納得した。お漏らしである。
オムツは取れているが、3カ月に1回くらいのペースでお漏らしはある。思い出した頃にやってくるので、いつまでたっても着替えを持ち歩く手間は消えない。
「お漏らししちゃったんだね~」
出来るだけ軽い口調で帰る道々話しかけるが、息子の反応は鈍い、どころかほぼ無視である。どうやらお漏らししてしまったことで凹んでいるらしい。
恥ずかしい、とか気まずい、という感情が芽生えてきたらしい。それはそれで喜ばしいことだが、お漏らしくらいであまり引きずってほしくない。
あれこれと話を変えたりもしてみたが、息子は帰る間、ほとんどしゃべらなかった。
家に帰り、幼稚園から借りた服を着替えたり、おもちゃで遊んだりしているうちにやっと息子の気分が晴れてきたらしい。
最近のマイブームである幼稚園ごっこをやる元気を取り戻した。
「じゃあご飯食べますよ~、ママ先生、そこに座って食べてください」
元気が出て良かった、といつもはめんどくさいと感じる幼稚園ごっこも、ほっとした気持ちで付き合うことができる。
「はい、じゃあ食べ終わった後はトイレ行きますよ~」
トイレ? 昨日まではお弁当の後はすぐに帰りの会で、トイレの真似をするのは初めてだ。
「じゃあ、さくら組さんからトイレいきまーす!」
戸惑う母は気にせず、トイレごっこは続く。どうやら、クラスごとにまとまってトイレに行くシステムらしい。トイレに行って、終わるのかと思いきや、
「あ! お漏らしした子がいます!」
息子が急にハプニングをぶちこんできた。
「大変大変! 着替え着替え!」
息子はそう言いながら家の中をドタバタと駆け回る。
「はい、こっち来て、着替えて、はい! 綺麗になりました!」
幼稚園で、自分が先生にしてもらったことの再現をさっそくしてみたらしい。かなり凹んでいたのに、現金なものだ。
「ママ先生! こっちにもお漏らしした子がいるから手伝って!」
はいはい、と応えながらも、幼稚園って毎日こんなにお漏らしする子がいるんだろうか?と疑問に思うくらい、このトイレごっこは長く続いた。
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