宇宙兄弟 #20

この巻は「夢は叶え続けるものだ」という作品テーマにぴったりの内容でしたね。それでは感想を書いていきます。

注意!! この後はネタバレを含みますので、嫌な方はブラウザバックをお願い致します。

前巻でムッタが無事キャプコムになったらしいところまで描写されていました。この巻は、どうやってムッタがキャプコムになったのか、が語られる……のですが、これが主題ではありません。ムッタと気が合うようには思えないビンスがどのようにムッタに対する気持ちを変えていくか、そして読者にとってもビンスという人間が本当はどんな人間なのか、発見していく物語でもあります。

ビンスの変化を描く物語の根底にあるのは若くして亡くなった幼馴染、リックとの過去です。ムッタがリックにも似た宇宙への熱量の持ち主であると気づいていく過程を読んでいくことになります。

しかし、この物語が最後まで行き着くまでのプロットの複雑なこと! とてもじゃないけど作者の思考を追いきれませんでした。

まず、プロットには3つの時制が登場します。リックがまだ生きている過去、ムッタをキャプコムとして認めていく過去、ビンスが月を目指すロケットに搭乗中の現在の3つです。この3つの時制をドラマチックに、かつ読者にビンスの変化が納得がいくように、順不同でエピソードをちりばめて練り上げてあります。

時制をバラバラにして、物語の構成の原則に従うように並び替える手法はあるのですが、とてもじゃないけど私にはまだ手が届かない技術です。ややこしすぎます笑。たぶんこの巻のプロットを練るだけで1年くらいかかってしまいそうです。でもこれは雑誌連載の漫画……そんなにねじくってる時間はありません。時間をかけて良いものを作り上げていくことは大切ですが、やはりより短時間でやり遂げるのが売れっ子には必要なんだなあ、とあたりまえのことをしみじみ感じました。

ちなみに、構成云々ぬかして、この巻はとても感動的です。冒頭にも書いていますが、ビンスとピコが生前のリックと思い浮かべていた夢がすべて叶います。夢を叶える直前のビンスの一言「たとえようもなく、誇らしく思っている」、飾り気のない言葉ですが、言葉に込めた熱量だけだ伝わってくるビンスらしい素晴らしいセリフです。これだけではどれだけ名台詞なのかわからないでしょう。ぜひ単行本を読んでみていただきたいと思います。

読んでくださってありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

前の記事

日本の本屋さん