スタンド・バイ・ミー

スティーブン・キングの代表作です。映画化もされ夭逝したリバー・フェニックスが出演していたことでも知られているかと思います。恥ずかしながら、原作も映画も、今までノータッチでした…。小説の構成についてまとめられている本に、スティーブン・キングの作品は、知ってか知らずか、必ず構成の原則に基づいて書かれている、とあったので、勉強のためにも、教養のためにも、読んでみることにしました。

注意!! この後はネタバレを含みますので、嫌な方はブラウザバックをお願い致します。(スタンド・バイ・ミー程の名作にこの注意が必要かはさておいて)

構成の原則に従っているか否か、第一の焦点はここだったので、とりあえず下記に一気にあらすじと共にまとめておきます。

読者を話に引き込むフックは「死体を探しに行く」です。これは冒頭数ページで早くもでてきました。その後は、死体を探しに行くまでに4人の主人公たちの境遇が語られていきます。どの子もかなり恵まれていない、このままでは将来が危ぶまれるような劣悪といってもいい状況にいます。

そして話が動き出すプロットポイント1は、死体を探しに出発する辺りが当てはまると思います。4人が勇気を出して冒険にでることに合意したことで、実年齢より背伸びした挑戦をすることになります。これからの成長と苦労を予感させます。

しかし、勇気をもって冒険に出たのはいいですが、旅路は苦労ばかりです。そんな中、4人のなかでも中心核であるゴードンとクリスが仲間の一人であるテディについて話します。「あいつは変だよな」と語り、癇癪もちで長生きできそうもないテディの性格を読者にも植え付けます。これがおそらくピンチポイントではないかと私は考えています。ミッドポイントは電車にひかれそうになったあたりかと思います。九死に一生を得たことで、生を実感し、ゴードンはさらなる成長を遂げるのです。

その後も苦労する旅路は続きますが、ピンチポイントはまたもゴードンがクリスと会話をするところになります。クリスは4人の中でも一番優秀で才能あるゴードンに、他のやつのことはおいて、ちゃんと勉強をするべきだとさとします。クリスは4人の仲間の内残りの2人がお前の足を引っ張る存在だと言い切るのです。ここまでで、クリスという人物は4人の中でもひときわ大人びており、思慮深く、頭もいいことが読者にも十分わかっています。そしてプロットポイント2は、ゴードンがこのクリスの手を借りずに、自分に降りかかった災難を克服するちょっとしたエピソードがそれにあたります。

構成についてはこれが正しいとは限りませんが、ゴードンの成長物語としてスタンド・バイ・ミーをとらえると、上記のように構成をとらえるのがしっくりくるかなーと思います。ちなみに各ポイントの出現場所はほぼお手本通りの位置でした。

各ポイントの役割と位置をお手本通りに記述しただけでもすごいことなのですが、スティーブン・キングの文章には多彩な比喩表現が頻出し、具体的に語らずとも想像で読者に状況や心情を納得させるシーンが本当に多くありました。三島由紀夫のように美麗というわけでもないのですが、スティーブン・キングにしか書けない、個性的な文章……小説家が一生かけて探し求めるものを手にしている人なんだとしみじみ感じました。

読んでくださってありがとうございました!

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