ストーリー
ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則、という副題がついています。訳本で、著者はロバート・マッキー自身。ハリウッド関係者が全員読んでいるという映画脚本家を目指す人向けのシナリオ指南書です。
ロバート・マッキー氏の指導により、これまで多数のアカデミー賞・エミー賞受賞者、ノミネート者を輩出したそうです。
脚本家向けではありますが、本当の後半にいたるまでは、ストーリーを創作する小説家、劇作家等が読んでも普遍的知識が得られそうな濃い内容でした。
この一冊を読んで、技巧やテクニックが得られるというノウハウ本ではなく、ストーリーを考案する上で、知っておいた方がいい、土台となる基礎の基礎を学べます。
訳本ですが、訳が優れているので、大変読みやすかったです。
私が最終的に目的とするのは、小説を書くことなので、この本が意図している読者層からは少し外れていますが、ストーリーに欠かせない契機事件やキャラクター造形、描写からまだ足りないと思える知識を得ることができました。
つい1年前までは、文才というのは本や講座で見につくものではなく、天賦のものだという思い込みがありましたが、才能は経験や努力で積み重ねていけるものだと認識を改めることができ、飛躍的に文章力は向上したと思います。映画や読書も、より深い視点で見ることができるようになったので、それだけでより刺激的な体験ができ、それだけでも人生得したな、と思えます。
もし、あなたが少しでも文章を書くことに興味がある、書くことに興味はなくとも、映像や文章のエンタメに興味があるなら、一読して損はないと思います。
受け手としてのレベルをあげるには、送り手の知識を得ることは無駄になりません。
ちょっとお高いのが難点ですが……興味のある方にはぜひ、お薦めしたいと思います。
ストーリー
ロバート・マッキー/越前敏弥訳
フィル―ムアート社
読んでくださってありがとうございました!