読書感想|最終回間近?!こうありたいが詰まった漫画、七つの大罪38(鈴木央)
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七つの大罪38 鈴木央先生 週刊少年マガジン(講談社)
を読みましたので紹介していきます。
もう最終回間近な雰囲気ですね。
ハッピーエンドになるのか、ドキドキしながら読んでいます。
本編も面白いですが、作者の日常(?)を描くエッセイも好きです。
ほぼフィクションの触れ込みで描かれてますけど、売れっ子の描く漫画はこんなちょっとしたものでもクオリティが高いです!
では、本編の感想を書いていきますね。
目次
1.おおまかなあらすじ
2.バトル漫画……ではない
3.こうありたいが詰まった漫画
1.おおまかなあらすじ
前巻までで、魔神王を倒し(1回目)エリザベスの呪いを解いたかに見えましたが、ゼルドリスをよりどころに復活し、呪いも復元してしまいました。
復活した魔神王はゼルドリスとの融合に必要な時間を稼ぐため、魔界から伝説級の化け物を呼び寄せます。
太陽の力を失ったエスカノール以外の七つの大罪が魔物を討伐しに向かいます。
一方でエリザベスと残ったメリオダスは悩みます。
今度こそ魔神王を倒さなければ、弟のゼルドリスが消えてしまう。
しかし、呪いの復活したエリザベスのそばにいなければ彼女を守れない。
迷うメリオダスにエリザベスは「だったら私も一緒に行く」と告げ、二人はゼルドリスを助けるために魔神王のもとに向かいます。
魔界の化け物をバンが神器を使い倒し、エスカノールは七つの大罪としてもう一度戦うために死を覚悟して太陽の力を取り戻します。
魔神王と戦うメリオダスですが、ゼルドリスの気配が失われ、魔神王が完全復活してしまいます。
絶望的な状況の中、七つの大罪(除くエスカノール)がメリオダスのもとに集結。
皆で魔神王を倒す戦いが始まります―――
2.バトル漫画……ではない
七つの大罪は、当初、とても強い奴ら(七つの大罪)が圧倒的な力でバンバン敵を倒していく、そんな雰囲気のお話から始まりました。
当然、これはバトル漫画というジャンルになるんだろうな、と思って読み始めました。
しかし、巻を追うごとに、強く見える七つの大罪たちにも悲しい過去があり、ただの強い奴らではなく、血の通う人間(違う種族や、本当に生き物ではないのも含まれますが)なんだということがわかってきました。
ただ生まれつき強いだけではなく、戦う理由や守るものがあるから強い、という裏付けがきちんとされています。
漫画に描かれている割合は、2割がバトルで8割が、この人間関係を描くのに使われているという印象です。
もちろん、派手な魔法や技による演出はありますが、それはなんだかすごいことが起こってるぞ、強い敵が出てきたぞ、ということを分かりやすくするためで、ストーリーの要ではありません。
では、今回ピックアップしている38巻ではどうでしょうか?
3.こうありたいが詰まった漫画
いよいよ最終回も近そうな雰囲気で、七つの大罪VS伝説の化け物、メリオダスVS魔神王がメインに描かれた巻でした。
バトルシーンもたくさん描かれています。
が、派手な技の応酬は描かれても、それでハラハラドキドキするような展開になってはいませんよね。
七つの大罪VS伝説の化け物はバンがあっさりとやっつけてしまいますし、メリオダスVS魔神王は、これから本格化する戦いの序章といった感じで、むしろ早く本格的に戦い始めないかな?と感じるくらいでした。
この巻で最も心動かされるのは、こうしたバトルシーンではなく、エスカノールの決意だったと思います。
太陽の力を失って、夜のひ弱な姿なまま、戦う術を失っているエスカノールですが、それでも彼は戦場に身を置きます。
自分は七つの大罪の一員だから、最後まで彼らと戦い抜くのだ、という決意が彼を奮い立たせています。
もうすぐやられてしまうところまで追い込まれますが、なんとか間一髪で助かりはします。
でも彼の身体はこれまでの酷使によりぼろぼろ……
太陽の力を取り戻すことはできますが、使えてあと1回、しかも、そのあとには確実に死が待ち受けているという過酷な条件つきです。
にもかかわらず、エスカノールは迷わず太陽の力を取り戻すことを決断します。
すべては仲間のため、です。
とても感動的なシーンですよね。
死を受け入れて、仲間のために戦おうと決意するなんて、想像を絶する勇気がいると思いませんか?
平和な日本では類似する具体例をあげるのも難しいですが、例えば大切な家族や恋人が病気で内蔵移植が必要だったとして、その適合者があなただった場合、手術すれば大切な人は守られても、あなたは死んでしまう、その事実を受け入れドナーとなれるでしょうか?
実際には倫理的な問題から上記のような手術は不可ですが、できるとして、手術に同意できますか?
大切な人を死なせたくはないけど、自分もかわいい。それが多くの人の本音だと思います。
しかし、本当なら大切な人のためにできることはなんでもしてあげたい、という気持ちもどこかにあるものだと思います。
思ったとしても、実現はとても困難ですよね。
漫画はフィクションです。
だからこそ、現実ではまず不可能な願いを叶えることができます。
エスカノールのこの決断は、私たちの心のどこかにある自己犠牲的精神や英雄的行為を肯定する気持ちを刺激して、感動をもたらすのです。
七つの大罪にはこういうシーンが多くあります。
全てはフィクションです。
しかし、隠れた願望やこうありたいと望む姿を描くことで、読者は強い感動や充実感を得られます。
七つの大罪がバトル漫画ではなく、友情や愛情を描いたドラマがメインの漫画であり、面白さを強く感じるのはこれが理由なんですね。
いかがでしたでしょうか?
巻の最後もカッコよく七つの大罪が団長のメリオダスを助けに来る、熱いシーンで終わっていて続きが早く読みたくなります。
もうすぐ最終回(だと思います)なので、終わったらまた一から読み直したい漫画ですね。
最初のお気楽な雰囲気にものすごいギャップを感じそうですが笑。
良ければコメントを残していってくださいね!
ここまで読んでくださってありがとうございました!