ジーヴスの事件簿 才知縦横の巻

美智子様がインタビューでお答えになったことで一気に知名度があがったジーヴスシリーズですが、日本語訳はあまりないようです。本屋に平積みされている1冊を読んでみました。結論から言うと、さすがの面白さでした。

注意!! この後はネタバレを含みますので嫌な方はブラウザバックをお願い致します。

主役は意外にもジーヴス氏ではなく、彼が使える若い金持ち青年であるミスターウースターです。彼は「人のいい優しい青年だけど頭は空っぽ」と称される通りの青年で、読者からしてみれば彼が何かをしようとするたびに「大丈夫かしら…?」と心配になってしまいます。そんな彼を影で支えているのが執事のジーヴス、という設定になっています。

ミスターウースターの周りには、彼に劣らず頭のネジが何本か抜け落ちたような困った人がたくさんおり、毎度彼にトラブル解決を依頼したり、逆に彼をトラブルの中に突き落としたりします。そのたびに、ミスターウースターは最初は独力で何とかしようとするのですが(この辺りが、この主人公の主人公たるゆえんで、読者に無意識に彼を心配させたり、応援させたりする、物語への引き込み方がうまいです)、結局いつも、にっちもさっちもいかなくなったところで、ジーヴスがなんとかしてくれる…という展開になっています。

時代劇のように、型にはまった展開なのですが、水戸黄門のようにみんなの前で万事解決…みたいなことをジーヴスはしません。むしろ、彼は小説中、最初と最後くらいしか読者の前ではしゃべらない、動かないのです。終始、物語をひっかきまわし、動かしているのはミスターウースターで、読者の見えないところで暗躍するジーヴスの仕込みが、最後の最後になって明るみに出る…という感じになっています。

そのくせ、ジーヴスの存在感は抜群です。その理由は、彼の人を喰ったような性格にあります。主人をたてているようでたてておらず、来客に慇懃に接しているようで実は無礼にあしらっていたり…と、一言で言うと、なめた性格をしているわけです。

ジーヴスの機知にと意地悪に富んだ裏での活動が、表舞台で滑稽にのたうちまわるミスターウースターと対になって、絶妙な面白さをだしています。

私が読んだものは短編集で、活字になれた人なら1話、5分程度で読める内容です。しかも、抜群におもしろいので、電車の中で息抜きにはちょうどいいと思います。小学生からお年寄りまで、全ての世代の方にお勧めできる1冊でした。

読んでくださってありがとうございました!

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