宇宙兄弟 #19
ケンジや新田のその後も出てきますが、本筋はムッタのストーリーです。表には現れないヒビトとのストーリーとリンクして進む面白い構想になっていました。それでは感想を書いていきます。
注意!! この後はネタバレを含みますので、嫌な方はブラウザバックをお願い致します。
本筋のムッタのストーリーですが、裏でヒビトのストーリーが展開していて、その動きに合わせてムッタのストーリーも前進する構成になっています。
ムッタが新たに始めたのはキャプコム(管制室で任務中の宇宙飛行士に指令を与える役目)の訓練です。相手役は教官でもあったビンスで、息が合うようには見えないこの2人がいかに歩調を合わせていくかが焦点になっています。
対して、ヒビトのストーリーはほぼ本人不在で周囲の人々の様子から語られていきます。
ムッタのキャプコム訓練開始 → ヒビトのミッションアサインがおりずピンチ → 訓練の出だしは順調 → 宇宙飛行士引退を示唆されたヒビトが行方不明になる → ムッタは訓練中に重大ミスを起こしキャプコムからはずされるかもしれない → ヒビトがNASAから離れロシアへと向かうことを決意する → ムッタがキャプコム指名を勝ち取る
ちょっと読みにくいと思うのですが、上記のように、ヒビトのピンチがムッタのピンチに、ヒビトの克服がムッタの克服につながるようになっています。仲の良い兄弟として描かれていますが、なんだか面白いリンクの仕方ですよね。シャロンの、ヒビトはムッタの前を引っ張って歩く人になる、という一言を表しているようです。
この巻では、厳密にはムッタはキャプコムとして指名されたかのような終わり方をしているだけで、どのように指名を勝ち取ったのかまでは次巻に持ち越しとなっています。
構成もとても美しく、ノートにメモを取った時に、「おー!」と感動の声をあげたくらいなのですが、最も印象に残ったのは新田とその弟の現在の様子が語られたシーンでしょうか。
ムッタとヒビトの兄弟関係と対比して語られたことのある新田兄弟ですが、その後引きこもりの弟は自力でその状態を脱し、就職活動まで始め、渡米の準備をしているとのことです。新田が、兄としてそんな弟を誇りに思い純粋に応援している姿にムッタも影響されますし、ちょっと形は違うけどここにも宇宙兄弟がいると、読者はさわやかな励ましを得るのではないかと思います。
次巻はムッタのピンチ克服が中心に描かれるでしょうから、読むのが楽しみです。
読んでくださってありがとうございました!