【超短文!読書感想vol.5】青空文庫で読む文豪一流の心情描写

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仮面  正宗白鳥  青空文庫で無料公開中

正宗白鳥は明治から昭和にかけて活躍した小説家です。

『仮面』は主人公の男が爆発しそうなくらいイライラとした様子で家を飛び出すところから始まっています。

男はそのまま、普段は進んで話にも行こうとしない妹に会いに行き、イラだったまま冷たい言葉を彼女に投げかけます。

しかし、男がいったい「何に」そんなにイラだっているかは、なかなか明らかになりません。

男が何にそんなにイラだっているか……という好奇心で読み進めていくことになるのですが、その過程で分かってくるのが男の抱えている「闇」です。

甘え、不安、寂寥、孤独、そして依存。

男のうちに潜む複雑な心情が息を詰めるように迫ってきて、短編ながら心かき乱す傑作です。

作者の正宗白鳥は自身も幼少期から虚弱体質で、生への不安を感じながら生きていたような人で、その不安定な心持ちが本作にも色濃く反映されています。

文豪一流の心情描写をぜひ堪能してみてください。

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